DeNAにがばい旋風!佐賀出身浜口&宮崎で反撃星

広島対DeNA 5回裏広島2死二塁、丸を二飛に仕留めてガッツポーズする浜口(撮影・田崎高広)

 ハマのハマちゃんとプーさんが広島を食い止めた。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S)第2戦で、DeNA浜口遥大投手(22)が、7回2失点の快投で白星を挙げた。ポストシーズンでの新人投手の勝利は9人目。セ・リーグのCSに限れば3人目の快挙を達成した。打っては首位打者の宮崎が1本塁打を含む3安打3打点。いずれも佐賀出身の投打がガッチリかみ合い「がばい旋風」を巻き起こした。アドバンテージを含めて1勝2敗とし、広島に食らいついた。

 

 唯一勝てなかった広島に、大舞台で土をつけた。浜口が託された7回のマウンド。6回終えて112球。余力はまだあった。「投げさせてもらっていることを意気に感じて投げた。腕を振って、打者に向かっていこうと。いろんな球種があったけど、腕を振っていくことを意識した」。篠原投手コーチから「任せるぞ」と背中を押され、128球で21個のアウト。勝利を呼び込んだ。

 負ければ王手をかけられるCSファイナルS第2戦。圧倒的に不利な状況だった。浜口にとってリーグ戦ではセで唯一未勝利の広島。何よりも、チームが昨季敗退したファイナルSで、同じ場所で同じ相手との巡り合わせ。「僕は去年経験していないけど、先輩の話を聞いていればその悔しさはヒシヒシと感じていた。だからやり返す気持ちでここにきた」と投げ抜いた。

 外れの外れ1位での入団で、これまでのキャリアは決してエリート街道ではなかった。地元佐賀で進学した県立三養基高校までは無名。神奈川大2年から大学選抜に選出されたが、周囲は甲子園常連校出身選手ばかり。「地方組で周りは6大学が多かったし、肩身が狭いというか、少数派だった」と言うが、そんな中でも成長を求めた。

 「代表はすごい選手たちが集まる場所。いろんなヒントを得ることができる」。大学3年のとき、同期の創価大・田中(現ソフトバンク)、立大・沢田(現オリックス)からフォークを教わった。チェンジアップ、ナックルカーブに加え、武器の1つにした。この試合でも2回1死三塁のピンチに、西川を二ゴロ、続く会沢を空振り三振に仕留めたのは、フォークだった。

 今季新人左腕では球団史上59年ぶりに10勝を挙げ、新人王筆頭候補にまでなった。宮崎とともに「がばい旋風」で星勘定は1勝2敗。ラミレス監督は「去年は連敗でスタートした。今年は1日早く勝つことができた。勢いは出てくる」。ルーキーがもたらした大きな白星で、下克上の旋風を巻き起こす。【栗田成芳】

 ◆がばい旋風 県立校の佐賀北が07年夏の甲子園で、強豪校を次々にミラクル劇で撃破。「とても」を意味する佐賀弁「がばい」から「がばい旋風」と呼ばれた。決勝の広陵戦では8回に副島が野村から逆転満塁本塁打を放ち、5-4で劇的勝利を収め初優勝した。