今宮神の手!V生還呼んだ工藤監督会議での周到要求

7回裏ソフトバンク2死満塁、中村晃の適時打で本塁にヘッドスライディングする二塁走者今宮。捕手戸柱(撮影・狩俣裕三)

 「神の手」で連勝だ。「SMBC日本シリーズ2017」第2戦は、ソフトバンクが2点を追う7回に劇的な逆転劇を演じ、2連勝とした。今宮健太内野手(26)が本塁にヘッドスライディングしてつかんだ勝ち越しの得点は、1度アウトと判定されたものの、リプレー検証でセーフにひっくり返ったもの。今宮が伸ばした左手が、一瞬のプレーを制し、鷹に大きな勝利を呼び込んだ。

 今宮の左手が一瞬早く逆転のホームベースにタッチした。1点差に詰め寄った7回、2死満塁から中村晃が右前へ安打。三塁走者柳田が生還し同点。二塁走者今宮が頭から本塁へスライディング。捕手戸柱も左手から飛び込みタッチ。ほぼ同時となり、判定は「アウト」。だが工藤監督がベンチを飛び出し、すぐさまこの日2度目のリプレー検証を「手が早く入った」とジェスチャーをしながら、要求した。8分間の検証の結果、審判が場内マイクで「リプレー検証の結果、セーフ」とコールすると、ヤフオクドームには大歓声が響いた。

 今宮は「三塁を蹴ってヤバイなと思ったので、足でいかなくて、(タッチされにくい)頭で行こうと切り替えた。左手首の上をタッチされたので、もしかしたら(セーフ)だと思った。ベースを触った感触はあった。あれだけの時間を割いて審判の方がよく見てくれた。セーフと言われた時はめちゃくちゃうれしかったですよ」と振り返った。好調の1番柳田と3番デスパイネをつなぐ2番打者は、守備や走塁でも勝利に貢献している。「僕がこのシリーズのキーマンになる」と自覚十分だ。

 工藤監督は「ドキドキする試合だった。晃君のヒットと今宮君のすばらしいヘッドスライディングがこの勝利を呼んだ。7回はみんなが逆転するんだという強い気持ちでのぞんだ」とナインの集中力の高さに感謝した。2点を追う7回は代打明石から仕掛けた。二塁打で出塁すると代打城所でバント。「あれはセーフティー。あわよくば一、三塁にしてさらに盗塁しようと思った」。確実に詰めようとしたのではなく、大胆に攻めた。

 工藤監督は3回にも松田のポール際へのファウルにリプレー検証を要求。判定は変わらなかったが執念を見せた。27日、工藤監督は監督会議で「リプレー検証を要求したら、審判の判断ではなく、(映像を)見てほしい」と要求していた。シーズン中にリプレー検証の必要はないと受け入れられなかったことがあったためだが、審判団に「考慮します」と言わせていた。監督の要求でリプレー検証をしなければならないルールはないが、そのくぎ刺しが効果を発揮した。

 第1戦で眠っていた4番内川、5番中村晃にも安打が出ての逆転勝利。明日31日からの敵地横浜で一気に4連勝で2年ぶりの日本一を奪い返す。【石橋隆雄】