鷹また速攻!1回先頭打柳田に初球盗塁をさせたワケ

1回表ソフトバンク無死一塁、二盗を決める柳田(撮影・たえ見朱実)

 ソフトバンクがまたも「速攻」を成功させ3連勝、日本一へ王手をかけた。「SMBC日本シリーズ2017」第3戦、1番柳田悠岐外野手(29)が3戦連続で先頭打者安打で出塁。犠打を決めた2戦目までと違い、思い切って次打者の初球にスチール。作戦が見事に決まって2死三塁から頼れる4番内川聖一外野手(35)が右中間へ先制適時二塁打を放った。第1戦の7球、第2戦の5球に続き、わずか10球で得点を奪った故障明けコンビの先制パンチ。一気に2年ぶりの日本一へ突き進む。

 ソフトバンクの頼れる2人が、あっという間にチームに流れをつくった。1回。柳田のテンションは上がっていた。始球式で憧れでもあった大魔神こと、佐々木主浩氏がマウンドに立った。打席で「感動です。佐々木さんがマウンドにいるんですよ。テンション上がりました」。まさかのワンバウンドだったが、気持ちが高揚したまま試合に入った。ウィーランドの3球目を強振。二塁手に捕られそうな打球だったが柳田の気合が勝って外野へ抜けた。

 柳田 その後が打てなかったんで…。でも勝てたんでよかった。自分が打てば先制してくれる。後ろの打者のおかげです。

 3戦連続の安打で出塁した柳田に、ベンチのサインは「初球スチール」だった。「いいスタートは切れた。下が硬いんで足が伸びますね」。長い足を伸ばして見事に二盗を決めた。2戦目までは犠打だったが工藤監督も「いろいろあるんでね」とDeNAに流れを変えられる前に、積極的に動くことで流れを作った。あとはクリーンアップがかえすだけだった。

 内川 デスパイネが(三振に)倒れたんで、ボクが打つ番だと。それがつながりなんで。柳田が打つと「ああ試合が始まるんだな」と思う。心強いよ。

 内川は左親指付け根を骨折してシーズン終盤を欠場した。「みんなにこの日本シリーズに連れてきてもらったと思って感謝している」。柳田も左脇腹痛で離脱したがCSラストゲームで電撃復帰。チームに迷惑をかけ、少々無理をしている柳田の気持ちは痛いほど分かる。内川不在の時は柳田が4番を務めた。責任感の強いもの同士が、気持ちを1つにした。

 工藤監督も「内川がよく逆方向に打ってくれた。初回、点が入るのと入らないのでは全然違うから」と手放しで喜び「ここまで頑張ってきたので、明日も初回から全員でフルスロットルで頑張っていきたい。力を合わせて、明日決めるという気持ちでやりたい」と言った。1番と4番の左右スラッガー。役者がそろったソフトバンクが一気に日本一へと駆け上がる。【浦田由紀夫】

 ▼ソフトバンクは第1戦、第2戦に続き、1番柳田が初回に安打で出塁して先制。シリーズで第1戦から3試合連続で初回に得点したチームは90年西武に次いで2度目。90年西武は1番辻が第1戦右2、第2戦右安、第3戦中安と、3試合連続で初回先頭で安打を放って先制のホームを踏んだ。第1戦から3試合続けて初回先頭で安打を放った1番打者は辻以来2人目。第1戦から3試合連続で初回に先制のホームを踏んだのも辻以来2人目だ。