浜口の歴代2位ノーヒッター演出したお化けチェンジ

DeNA対ソフトバンク 7回表ソフトバンク2死一塁、浜口は松田を右飛に打ち取り雄たけびを上げる(撮影・足立雅史)

 ハマの浜ちゃんが、またしても土壇場で旋風を巻き起こした。「SMBC日本シリーズ2017」第4戦、DeNA浜口遥大投手(22)が、球団史上初めて新人選手として先発し、ソフトバンク打線を7回2/3、2安打無失点に封じた。日本シリーズでの新人勝利は史上16人目(19度目)の快挙。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ(S)広島戦でも佐賀県出身の浜口と宮崎の九州男児がかみあい4連勝。奇跡への旋風をハマスタで巻き起こした。

 

 ハマスタの夜空から無数の拍手が降り注いだ。浜口が投げた119球。8回途中にマウンドを降りると、スタンドのファンは次々と立ち上がる。7回2/3無失点の内容に自然と拍手が沸き上がった。ノーヒッターで降りることはできなかった悔しさはあった。でも、大きな勝利をもたらした。8回1死の26人目で初めて安打を許すまで、無安打投球が終盤まで続いた。

 積み重ねる0の数だけ、会場のボルテージも上がっていった。「これが日本シリーズなんだというくらい耳に飛び込んできた」。ルーキーイヤーの今季専属捕手として支えてくれた高城のミットめがけて投げ込んだ。

 「いろんなボール、いろんな配球。すべての球種を投げないと抑えられない」。高城が名付けた「お化けチェンジ(アップ)」がさえ渡る。3試合連続で先頭安打を許していた柳田を第1打席、二ゴロに打ち取り流れを引き寄せた。「フルスイングしてくるから、強い球を投げること。それと甘いところにいかないこと」。7回、松田を右飛に打ち取り、雄たけびを上げた。

 大舞台で投げ合った相手は少年時代のヒーローだった。地元・佐賀ではテレビをつければ、ソフトバンクの試合が放送。和田の姿に「よくみていた人。当時から参考にしていた」。互いに4回まで無失点投球。我慢比べに「粘り負けないようにしよう」と食らいついた。いつも誰かの背中を追ってきた野球人生。勝負どころで投げたフォークは、大学日本代表合宿で、現ソフトバンク田中正義に教わった球種。負けじと張り合ってきたから、日本シリーズのマウンドまできた。

 負ければ終わり。そんな雑音をかき消す歓声にだけ耳を傾け「なんか、すごく集中していました」と自然とスイッチが入った。「まだ終わっていない。僕たちはしっかり戦い抜く」。ハマスタでもう1試合できる。19年ぶりの日本一。夢で終わらせるにはまだ早い。【栗田成芳】

 ▼ルーキー浜口が8回1死まで無安打に抑え、シリーズ初登板初勝利。シリーズで先発投手が初回から無安打に抑えたのは07年第5戦山井(中日)の8回が最長で、浜口の7回1/3は62年第2戦村山(阪神)91年第4戦佐々岡(広島)に並ぶ2位タイ。シリーズ初登板では79年第2戦山根(広島)99年第3戦永井(ダイエー)の6回を抜いて最長となり、新人でも75年第3戦山口(阪急)の5回を抜く最長記録だ。

 ▼ルーキー浜口がシリーズ初登板初勝利。シリーズで新人の勝利投手は13年第6戦菅野(巨人)以来16人、19度目で、初登板は8人目。王手をかけられている試合では1勝3敗の56年第5戦義原(巨人)3勝3敗の03年第7戦和田(ダイエー)2勝3敗の13年第6戦菅野に次いで4人目。初登板は義原以来2人目も、義原は救援勝利で、もう負けられない試合で初登板初先発の新人が勝利は初めて。