ソフトバンク上林は「稲葉2世」指揮官決めた侍中軸

日本対西武 5回裏日本2死一、二塁、左前に適時二塁打を放つ上林(撮影・たえ見朱実)

 「稲葉2世」のソフトバンク上林誠知外野手(22)が、本家の稲葉監督から東京五輪の星に指名された。

 「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」(16~19日、東京ドーム)に向けた宮崎合宿最終日の13日、上林は西武との練習試合に「5番右翼」で出て2戦連続のフル出場。2安打1打点1盗塁と躍動し、西武山川、日本ハム近藤と大会でクリーンアップを務めることが決定した。稲葉ジャパンは6-0で快勝し、対外試合初勝利となった。

 「稲葉2世」が観客を魅了した。5回2死一、二塁、5番上林は外角高めの143キロ直球をたたいた。強烈な打球は左翼フェンスに直撃。ダメ押しの5点目となる適時二塁打で、塁上からベンチの歓声にクールに手をあげた。2試合連続の2安打。「打ちすぎて心配なくらい。本番にとっておきたい」と笑わせた。

 2回1死一塁では、右中間を破る打球に一塁から快足をとばし、先制のホームを踏んだ。8回にも無死一塁から二盗を決めた。「走者がいればかえす。いなければ出る。出たらホームにかえることを意識している」。メンバー唯一の2試合続けてフル出場を果たし、稲葉ジャパンに欠かせない存在となった。

 指揮官も「彼と心中します」と本大会では3番か5番でのクリーンアップ起用を明言。本人にはこの日の朝「この3試合、左投手でもすべていくよ」と直接伝えた。「僕に似ているという面もあるので」と冗談めかしつつ「走攻守3拍子がそろっていて、20年に向けても考えている選手」と東京五輪も見据えての決断だと明かした。

 上林には返したい恩がある。今季は134試合に出場したが、CSでは不振にあえぎ、第5戦から登録を外れた。それでも「稲葉監督は春のキャンプから1年間どんな時も見ていてくれた」。合宿初日の全体練習後には10分近く話し込み「早めのトップ作り」を教わった。「やっと成果が出せた」とどん底からの光に、ほっとした表情を見せた。

 揺るがぬ信頼に、気合は十分だ。「監督の期待に応えたいという思いが強い。勝利につながる一打を打ちたい」。かつてイチローも背負った日の丸の背番号51が、稲葉ジャパンの柱となっていく。【桑原幹久】