巨人がFA野上調査、元モー娘。梨華夫人もサポート

6月、交流戦巨人戦で陽岱鋼を見逃し三振に仕留める西武野上

 巨人が、西武からフリーエージェント(FA)宣言した野上亮磨投手(30)の獲得調査を行っていることが20日、分かった。沢村賞を獲得したエース菅野、左腕田口は盤石だが、今季14勝のマイコラスの残留は不透明な状況。野手陣は若返りを図る一方、2連覇の広島に対抗するには先発陣の強化は不可欠で、今季11勝をマークした野上に白羽の矢を立てた。宣言残留を認める西武、DeNAら複数球団の争奪戦が予想される中、球界の盟主が動く。

 FA戦線で沈黙を貫く巨人が、静かに動き始めた。FA交渉が解禁された16日から4日のこの日、野上の獲得調査を行っていることが判明した。マイコラスの残留が不透明でエース菅野、田口に続く先発投手の補強はV奪回に向け、必要不可欠と判断。岸が楽天に移籍して抜けた今季は西武でカード頭を任され、11勝を挙げた右腕が補強ポイントに合致した。

 巨人は村田がチームを去るなど、野手は若返りの方針を固めた。三塁手には来季4年目の岡本、二塁には同2年目の吉川尚らがスタメン候補。勝利が求められるチームで、思い切った起用を可能にするには投手陣の安定感が絶対といえる。リリーフでは日本ハムからFA宣言した増井の調査を進める中、先発ではローテに定着した12年以降、大きな故障もなく、計算が立つ野上に着目した。

 30歳の野上は伸びしろがある。地道に続けた下半身強化の成果で、今季は平均球速が2~3キロアップ。自己最速を更新する149キロを記録した。ボールの回転数などを調べる高性能弾道測定器「トラックマン」では、西武のエース菊池を超える回転数を記録。回転軸のブレも少なく、リリースの安定性、ボールの伸びを示すポップ量も高い数値を残した。

 その魅力は今季の数字が雄弁に語る。通算53勝ながら、メジャーリーグで浸透するデータ指標「セイバーメトリクス」では各部門で上位にランク。1イニングに何人走者を許したかを示す「WHIP」は1・06。1・20がエース級の数値といわれる中、西武菊池(0・91)、楽天岸(1・02)に次ぐリーグ3位だった。

 提示される条件面は大事な要素だが、野上はFA権行使を表明した会見で「自分を一番、必要としてくれる球団に」と話した。元モーニング娘。の梨華夫人からは「どんな決断でもついていく」と背中を押されている。今後は宣言残留を認める西武、DeNAなど複数球団との争奪戦が予想される。

 ◆野上亮磨(のがみ・りょうま)1987年(昭62)6月15日、福岡県生まれ。神村学園で05年センバツ準V。日産自動車を経て08年ドラフト2位で西武入団。09年4月30日ソフトバンク戦でプロ初登板。13年に自身初の2桁勝利となる11勝。今季は9月23日オリックス戦でプロ初完封。自己最多に並ぶ11勝を挙げた。今季年俸5000万円(推定)。今年3月に元モーニング娘。の石川梨華(32)と結婚。来春には第1子が誕生予定。177センチ、74キロ。右投げ右打ち。