4・5億の菅野V奪回へ「決意」若手連れハワイトレ

菅野は来季のテーマ「決意」を書いた写真パネルを手にする(撮影・山崎哲司)

 4年ぶりの覇権奪回へ「決意」の1年に臨む。巨人菅野智之投手(28)が28日、東京・大手町の球団事務所で契約更改交渉に臨み、2億2000万円増の4億5000万円でサインした。入団6年目では14年ソフトバンク摂津の4億円を上回り球界最高額。球団トップの坂本の3億5000万円(未更改)も超えた。来季のスローガンに「決意」を掲げたエースは4位に終わったチームの巻き返しへ、若手の底上げに尽力する覚悟を見せた。(金額は推定)

 まぶしいほどのフラッシュを浴びても、笑みは見せなかった。菅野は口を真一文字に結び、会見場に姿を現した。「最大級の評価をしていただいた。自分にかかる期待、周囲の目は厳しくなる。身が引き締まる思いです」。入団6年目では14年ソフトバンク摂津の4億円を抜き史上最高額。右腕一本で大金を稼ぎ出す、名実ともに球界を代表するエースへと上り詰めた。

 すべてをぶつけた。「4年間の集大成」として挑んだ今季は、3月のWBCで日本のエースとして活躍。シーズンでは4月から5月にかけて3試合連続完封を達成するなど、17勝5敗、防御率1・59の成績を残した。最多勝、最優秀防御率の2冠に加え、初めて沢村賞も獲得した。「集大成を見せられた」と一定の満足感は得た。それでも「まだまだできる。球速も含めてストレートにこだわりたい」と慢心は一切ない。

 やり残したことがある。「来季のスローガンは決意」。今季は「頂」をスローガンに、個人では結果を残すも、チームは4位に終わった。「チームとして個人としても決意を持って戦わないといけない」と募る危機感を胸に行動を起こす。

 菅野 最近の若手は質問をしに来る選手が少ない。貪欲さが欠けている。姿勢から学ぶという選手もいるけど、それでは限界がある。

 12月から来年1月にかけて行うハワイでの自主トレには畠、桜井、宮国ら若手5人を連れて行く。来季から選手会長にも就任。「時には厳しい言葉もかけるけど、話しやすい環境をつくっていきたい」と自身の考えを伝え切る覚悟だ。

 終始真剣な表情を変えなかったが、報道陣から年俸の使い道を聞かれると「家のローンを払います」と笑顔。来季も白星の貯金を積み重ね、3年連続でリーグ優勝を逃した悔しさの“ローン”を、己の右腕で返してみせる。【桑原幹久】