広島1位中村奨成の大志 新人王&捕手初トリプル3

入団会見でバットを振る中村奨(撮影・梅根麻紀)

 今夏の甲子園で1大会6本塁打の大会新記録を作った広島ドラフト1位の広陵・中村奨成捕手(18)が13日、広島市内で新入団選手発表に臨み、「鯉のマー君」を目指すことを宣言した。描く理想は13年に楽天を初のリーグ優勝に導いた田中将大(ヤンキース)のように、ここ一番で勝負強い選手だ。走攻守そろった大型捕手は「新人王」だけでなく、球界初の捕手でのトリプルスリーも目標に掲げた。記録と記憶に残る選手を目指す。

 誰もが通るプロとしての第1歩。金屏風(びょうぶ)の前で背番号22を身にまとった中村奨は、緊張の色をまったく見せなかった。球団関係者や報道陣、441人のファンを前にしても「緊張しませんでした」とサラリ。堂々と真っすぐ前を見て、はっきりとした口調でプロとしての目標を口にした。

 「早くカープの看板選手になれるように頑張っていきたいと思います。まず新人王を取って、最終的にはトリプルスリーなど、誰も成し遂げていない記録を塗り替えたいと思います」

 いきなり、前人未到の記録に挑戦する覚悟を明かした。チームを引っ張るイメージは、楽天時代の田中(ヤンキース)の姿だ。「ここ一番で勝ちに貢献する選手。優勝を決める試合で最後のイニングに出てきた。信頼の高さを感じた。そういう選手になりたい」。大事な試合を任され、チームを勝利に導く-。自身も高3の夏の県大会決勝で決勝弾を放ち、甲子園では1大会の個人新記録となる6本塁打を記録した。勝負強さは実証済み。記録だけでなく、記憶にも残る。唯一無二の存在を目指す。

 軽快なフィールディングと強肩の守備力だけでなく、長打と確実性を兼ね備えた打力もある。さらに走力も大きな武器だ。日本球界初の「捕手での盗塁王」も目標の1つに挙げる。捕手に強いこだわりを持ち「ほかの選手に負けたくない。正捕手の座を渡したくないこだわりがあります」と言い切った。

 ただ、捕手という枠組みに収まるつもりはない。「捕手で記録を出すのは難しいポジションだと思う。自分の持ち味は走攻守そろっているところ。走攻守をいかんなく発揮して、普通の野手としての記録を捕手で作りたい」。トリプルスリーや盗塁王だけでなく、3冠王も夢見る。大きな可能性と、大きな野望を秘めた期待の大型捕手が、プロの扉を開いた。【前原淳】

 ◆中村奨成(なかむら・しょうせい)1999年(平11)6月6日生まれ、広島県出身。大野東小1年で野球を始め、軟式の大野シニアで県大会8強。広陵では1年春からベンチ入りし、準優勝した今夏甲子園では28打数19安打(打率6割7分9厘)。6本塁打、17打点、43塁打、猛打賞5度は大会新記録で、19安打、6二塁打は大会タイ記録。U18W杯出場。高校通算45本塁打。50メートル走6秒0。遠投120メートル。181センチ、76キロ。右投げ右打ち。家族は母と妹。