西武中村0・5ミリこだわり、復活へバット形状変更

自主トレでサッカーボールをヘディングする西武中村(撮影・山崎安昭)

 6年ぶりに“愛刀”をリニューアルする。西武中村剛也内野手(34)が12年以来となるバットの形状変更を決めた。昨季は腰痛などの影響もあり、115試合の出場で打率2割1分7厘、27本塁打、79打点と不本意な成績に沈んだ。希代のホームランバッターが、新たな相棒を手に、巻き返す。

 中村が慣れ親しんだ相棒のモデルチェンジを決めた。「ちょっと変えてみようと思って。グリップを少し細くして、グリップエンドも小さくします」。いつもと変わらず淡々と話したが、6年ぶりのバット変更。今季に向けた強い決意の表れだった。

 ミリ単位の感覚にこだわった。長さ(33・5インチ)と重さ(940グラム)は変えず、グリップをこれまでから0・5ミリ細く、グリップエンドの厚さも同じく0・5ミリ薄くした。見た目には全く分からない世界。普通の人が握っても変化に気付かないが、以前から「(バットの)ポイントが気持ち先端側にいく感じですかね。ヘッドをより走らせるようにしようと思って」と意図を説明した。

 より強く、速い打球を打つために決断した。昨季は規定打席に到達したシーズンで、初めて本塁打王を逃した。ケガにも悩まされ、4番からも外れた。チームはリーグ2位に躍進したが「悔しいシーズンだった。打撃で引っ張らないといけない立場なのに、全然出来なかった」。仕事は打つこと-。ヘッドをしっかり走らせ、強く速い打球を取り戻す。それが代名詞の本塁打にもつながる。バットの形状変更は、そのための一手だった。

 もちろん、コンディション調整にも余念はない。ここ数年悩まされてきた膝の古傷も良好。この日もジョギングとダッシュを交互に行う3分間走を繰り返し「もうバットが振れない…」と苦笑いするまで追い込んだ。すでに昨年12月中旬からマシン打撃も始めており、「しっかり振る体を作らないといけないですから」とうなずいた。

 新バットは週明け15日頃には手元に届く予定。今季使用するかの最終判断は、春季キャンプで振り込んでからとなるが「早く振ってみたいですね」と心待ちにする。プロ17年目の目標は「優勝だけです」と言い切った主砲。やはり、この男が打たなきゃ始まらない。0・5ミリのこだわりから、頂点に向けた勝負の1年がスタートする。【佐竹実】