ロッテ涌井メジャー断念 キャンプイン迫り残留決断

自主トレでキャッチボールするロッテ涌井

 大リーグ挑戦を目指し、ロッテから海外フリーエージェント(FA)権を行使した涌井秀章投手(31)が、ロッテに残留する意思を固めたことが26日、分かった。関係者によれば、長年の夢だったメジャー挑戦に向けてオファーを待ったが、現状でメジャー契約の提示はなかったとみられる。前例のなかった宣言残留を認めてくれたロッテへの感謝の気持ち、愛着も強く、熟考した末に2月に始まる春季キャンプを前に決断を下した。

 メジャー挑戦を目指し、海外FA権の行使表明から79日、涌井が選んだのはロッテ残留だった。米球界関係者によれば、数球団からオファーは届いたが、メジャー契約はなかったとみられる。マイナー契約でも挑戦する覚悟を持った時期もあったようだが、メジャー経験者や周囲に相談。悩んだ末、前例のなかった宣言残留を認めてくれたロッテにプレーで恩返しすることを決断した。

 退路を断ち、夢のメジャー挑戦を決意した。涌井が保持する海外FA権は国内他球団への移籍も可能だったが、FA権行使と同時に選択から除外。メジャーかロッテの2択に絞って、オファーを待った。ロッテからは昨年中に残留した場合の条件は提示済み。交渉のリミットは設定せず、涌井の決断を尊重する方針を示してくれた。今後は再度、交渉の場を設け、サインする運びになりそうだ。

 このオフ、メジャーのFA市場の動きは記録的なスローペースだといわれる。日本人選手もダルビッシュ(ドジャースFA)、上原(カブスFA)、イチロー(マーリンズFA)、青木(メッツFA)の所属先が未定。メジャーの春季キャンプが始まる2月中旬頃まで待つことも選択肢の1つではあるが、ロッテもチーム編成の最中。メジャーのFA市場の動向には関係なく、2月の春季キャンプ(沖縄・石垣島)前が自ら決めた期限だったようだ。

 去就が決まらず、精神的には落ち着かなかっただろうが、トレーニングは順調に進んでいるようだ。今月中旬まで楽天岸らと米ハワイで自主トレ。帰国後もチームメートの内、益田らと千葉・館山市内でトレーニングを継続した。関係者によれば、体の状態は万全で、キャンプ初日から通常のメニューを消化できるとみられる。メジャーへの思いは胸にしまって、ロッテの優勝に全力を尽くす。