侍千賀6者連続Kの裏にWBC準決負け投手の悔しさ

日本対オーストラリア 1回、オーストラリア打線を3者連続三振に打ち取りベンチに戻る日本先発の千賀(撮影・前岡正明) 

 こちらも奪三振ショーだ。「ENEOS 侍ジャパンシリーズ2018」第1戦が3日、ナゴヤドームで行われ、侍ジャパンが2-0でオーストラリア代表を下した。先発千賀滉大投手(25)が新記録となる6者連続三振を奪うなど、投手陣が16奪三振で無失点リレーを完成させた。打線は6回、3番柳田悠岐外野手(29)、4番筒香嘉智外野手(26)の連続適時打で2点を奪った。投打の主軸が存在感を示し、稲葉篤紀監督(45)のフル代表初陣を飾った。

 千賀が6者連続三振を奪い、稲葉ジャパンのエースに名乗りを上げた。「出来すぎ。まぐれが起きたな」と本人もビックリ。オーストラリア打線に1球もフィールド内に打球を飛ばさせなかった。1番ジョージには5球連続直球勝負で空振り三振。2番ケネリーはフォーク、3番ヒューズは内角150キロで空を切らせた。

 続く2回も4番、5番と直球で5者連続空振り三振。ナゴヤドームが異様な雰囲気に包まれ、6番デサンミゲルも何とかバットに当てようとスライダーを三塁線へ。「フェアと思った。球場のため息も出ていたので、三振を狙おうかなと」とギアを上げ、練習中のスライダーを続けて見逃し三振。育成出身バッテリー甲斐とのコンビもさえ、予定の2イニングを28球で6三振。満点解答で稲葉監督の期待に応えた。

 キャンプ2日目の2月2日に稲葉監督がソフトバンク宮崎キャンプを視察。その時に投手陣のリーダーと言われ、千賀は「そんなに目立ちたくない。そういう選手でありたいと思う半面…」と、恥ずかしがった。稲葉監督と同じくソフトバンク工藤監督からも大きな期待を受ける。2月15日には直接、3月30日のシーズン開幕投手を伝えられた。工藤監督は「もうワンランク上の投手になってほしい。やる気になれば、できる性格」と説明。昨年16勝で最多勝右腕の東浜ではなく13勝の千賀が選ばれたのは、責任感を与え、球界を背負う投手となってほしいからだった。

 昨季は背中を痛め6月に1カ月戦列を離れ、シーズン終盤まで違和感を抱えたままだった。今季は腕を引いた時に背中の後ろに手が見えない、背中に負担のかからないフォームに改良。投げ込んでも乱れにくい投げ方をつかんだ。昨年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では準決勝で負け投手に。「僕だけ代表のユニホームで負け投手。ずっとその気持ちがあった」。20年東京オリンピック(五輪)まで2年。故郷愛知から、大きく1歩を踏み出した。【石橋隆雄】