DeNA桜井、清宮キラー健在も「次は打たれる」

6回からDeNA3番手で登板し力投する桜井(撮影・足立雅史)

 やっぱり清宮キラーだ。DeNAドラフト5位の桜井周斗投手(18=日大三)が、日本ハムのドラフト1位、清宮幸太郎内野手(18=早実)から、またもや三振を奪った。6回、申告敬遠で2死満塁とした直後、3球で見逃し三振に仕留めた。ラミレス監督の“演出”に後押しされ、高校時代から通算で6打席連続奪三振。「桜井VS清宮」のライバルの図式は、プロでも新たな名勝負になりそうだ。

 2ボールからの申告敬遠で、宿敵と相まみえた。マウンドの桜井は複雑な心境だった。2番から始まる6回。先頭から3者連続四球するほど不安定だった。2死一、二塁で6番大田に2球連続ボール。ベンチのラミレス監督の“演出”で歩かせ、迎えた7番清宮。そこまでに抑えれば当たるはずがない打順だっただけに「本当は投げたくなかった」。ライバルと戦える喜びと、ふがいない投球への悔しさが入り交じった。

 初球は高校から仕留め続けたスライダーで空振り。立て続けに投げたスライダーは甘く入ったがファウルで追い込んだ。不調の中でも自然とギアは上がっていた。「2ストライクだったからボールになってもいいと、腕を振って投げた」と外角低めの直球で見逃し3球三振。1年半前の記憶に新しい名勝負は、またしても桜井に軍配が上がった。

 結果とは裏腹に本音は「2死満塁のピンチをつくったことが反省。僕が抑えれば、そういう状況にならなかった。(対決を)やらないことがベストだった」と18歳はプロの顔つきで言った。高校時代から続く連続奪三振を6に更新しても、湧き上がる敗北感。初球の空振りに「スイングがまったく変わっていた。別人のスイング。1軍でスタメンで出る実力をつけてきていた」。2球目のファウルは「ホームランでもおかしくない。半分負けた気持ち」。勝負に勝っても、勝った気になれなかった。

 高校時代での物差しでは測れないほど、ライバルは成長していたと実感。「このままでは次は打たれる。(三振で)良かったは良かったが、僕の方が危機感ある」。高卒1年目にして、オープン戦ながら1軍で対決が実現し、勝っても負けても刺激し合う縁で結ばれる。「そうかもしれない。単純にうれしいですが、結果にはこだわりたい」。宿命の対決は、まだ始まったばかりだ。【栗田成芳】

 ◆16年秋季都大会決勝VTR 早実が逆転サヨナラで日大三に勝利し、11年ぶり10度目の優勝を決めた。3番で出場の清宮は、日大三先発桜井の前に1、3回とスライダーを空振り三振。5回の第3打席は見逃しの3球三振で、7回も外角低めのスライダーを振らされて三振に倒れた。4-4の9回に日大三・金成の2点二塁打でリードされるも、その裏に西田の適時打で1点差に迫り、さらに清宮の打席で桜井が暴投して同点に追い付く。清宮はその打席も低めのスライダーに空振り三振も、続く4番野村の1発でサヨナラ勝ち。桜井は清宮からの5打席連続を含む14三振を奪うも、勝利はならなかった。