オリックス宗8戦4発 イチローも評価した柔らかさ

ロッテ対オリックス 5回表オリックス2死、イチローをほうふつとさせる流し打ちで4号本塁打を放つ宗(撮影・中島郁夫)

 マリナーズ・イチローの古巣に、イチロー2世が登場だ。オリックス4年目の宗佑磨(むね・ゆうま)内野手(21)が、オープン戦4号を放った。巨人ゲレーロと並ぶトップで、日本人選手では最多。ロッテ戦(ZOZOマリン)に1番左翼で出場し、5回に左越えソロ。1軍通算13試合出場にとどまる4年目が、今オープン戦で8戦4発4盗塁の大ブレークだ。オリックスの細身の左打ちで、1番で、外野手で、パンチ力のある俊足巧打といえば…。イチロー再来、スター誕生の予感だ。

 打った宗が驚いた。1-0の5回2死走者なしの場面。カウント3-1からロッテ永野の外角142キロを振り抜くと、打球は左翼スタンド最前列にズドン。「詰まり気味だったけど、角度が良かった。何とか伸びてくれた」。直前のファウルで差し込まれてポイントを前に修正。逆方向に舞い上がった打球は、左翼から右翼に吹くマリンの風を切り裂いた。

 プロ入り3年間で出場13試合だった21歳が、シンデレラボーイになった。本格的に外野手に転向したのは今春のキャンプ途中。そこからオープン戦で出場機会をつかむと、8試合でランニング本塁打1本を含む4本塁打。4盗塁、8得点とリードオフマンとして適性を見せ、空席だったセンターの最有力に躍り出た。

 運命を感じる。左打ちの細身の外野手で、1発のある俊足巧打といえばイチローが思い浮かぶ。そのイチローが3年前に神戸で練習していた時、新人合同自主トレ中の宗が初対面。フリー打撃を見て「いいね。柔らかい」と柔軟性を評価された。昨年12月にも1日限定だったが、神戸で一緒に練習する機会に恵まれた。「打撃フォームについて質問させていただいた。詳しい内容? 内緒です」。44歳になってもブレない野球への姿勢。その会話は大切に心にとどめている。

 オフのトレーニングの成果もあって5キロ近く増量した。「擦りあげる感覚から、かむ感覚に変わった」と打撃面で変化が生じ、長打が出るようになった。福良監督も「体が大きくなってスイングスピードが速くなった」と、その激変ぶりを驚く。

 イチローが日本プロ野球史上初のシーズン200安打を放つなど大ブレークしたのは94年。21歳のシーズンだった。「(イチローさんの)背中を見ているので、追いつけ追い越せで、負けないようにしっかりと自分を出したい」。オリックスに現れた華のあるプレーヤー。宗の躍動はファンの胸を躍らせる。【桝井聡】

 ◆4年目までのイチロー イチローが210安打を放って首位打者を獲得しブレークしたのは高卒3年目の94年。チームの全オープン戦24試合に出場し、オープン戦で初めて規定打席をクリア。両リーグ6位の打率3割4分5厘を記録し、当時のオープン戦MVPにあたる「花のパ・リーグ大賞」を受賞した。4年目はオープン戦でも首位打者に輝き、公式戦では首位打者、打点王、盗塁王を獲得した。ちなみに、宗は3月4日DeNA戦でランニング先頭打者本塁打を記録したが、94年イチローは2月20日横浜戦でランニング満塁本塁打をマーク。オープン戦の珍しい「ランニング本塁打」で勢いに乗ったイチローだが、宗はどうか。