若き主砲で巨人が“首位開幕”する。岡本和真内野手(21)が楽天とのオープン戦で同点適時打をマーク。2点を追う7回2死満塁、楽天宋家豪の直球を詰まりながらも、しぶとく中前へ打ち返した。逆転勝利を引き寄せ、チームはオープン戦を11勝5敗1分け、勝率6割8分8厘の1位で終えた。過去5度のオープン戦首位シーズンは、例外なくいずれもAクラス。前回の13年はリーグ優勝と吉兆が詰まっている。収穫多き準備期間を終え、30日開幕阪神戦(東京ドーム)へ、いざ出陣する。
心ではなく頭でバットを振り抜いた。7回2死満塁の絶好機。岡本が無表情のまま打席で勝機を見極めた。楽天2番手宋家豪と対峙(たいじ)。3球で追い込まれた。「振っちゃうときは振っちゃうと思いますが、今日はしっかりと前の試合のことも頭に入れながらやれた」。4球目の外角直球はファウルで粘り、5球目の低めの変化球にはピクリとも反応せず。勝負の6球目、149キロ高めの直球に狙いを定めて中前へはじき返した。
日本の主砲の頭の中を取り入れた。左右は異なるが、同じ長距離砲のDeNA筒香の思考が成長を確実にしている。「新聞で筒香さんの打席での考え方を読んだ。『打席に持って行くのではなく、打席から持ち帰る』というのを難しいかもしれないけど意識している」。打席にデータ、自身の狙いを必要以上に持ち込まない。一方で結果を問わずに打席でしか得られない収穫を重視する思考で日々のレベルアップにつなげてきた。
オープン戦17試合に出場して65打席に立った。チームをオープン戦首位に押し上げる16安打、4本塁打、12球団トップの15打点をマーク。打率2割6分7厘の好成績も14三振を喫した。昨年は64打席で半数の7三振だが4打点しかない。23日楽天戦で6回1死満塁で3ボールから空振り三振に倒れ「ぼんやりとしてイメージでいってしまった。投手、試合の状況を考えないといけなかった。でも、それを収穫として打席から持ち帰ることができたから次に生かせる」。2日後のこの日の打席で失敗を収穫に変えた。
秋季キャンプから相当量の振り込みで肉体を鍛え上げてきた。覇権奪回への準備期間は連日、厳しい練習が課せられた。「飛距離も伸びたし、少々詰まっても持って行けるようになった」と手応えが、かすかな自信に変わってきた。凡打を含めたオープン戦の65打席でベテラン阿部を退け「開幕一塁」も確実なものにした。「もっと気を引き締めていく。ここからが本当の勝負です」。本番の打席には、もっと貴重な宝の山がある。【為田聡史】