阪神能見いざ18年シーズンへ、語った鉄仮面の秘密

ノックを受ける能見(撮影・宮崎幸一)

 鉄仮面の奥では…。阪神能見篤史投手(38)が日刊スポーツのインタビューに応じた。マウンドでは無表情を貫き、美しいフォームから右打者の内角を突く。鉄仮面の下では何を考え、腕を振っているのか。8日の中日戦(京セラドーム大阪)で今季初先発予定の左腕が明かした。

 -早くにローテーション入りを明言された

 能見 僕はそういう立場ではないかなと思って準備をしてきました。必要とされていると感じてありがたかったし、そこに応えないといけないと思っています。余裕はないですよ。毎年ですけど、出来ることは全部やっていかないといけないですから。

 -ここまでの調整は

 能見 長年やっているので、ある程度の自分の流れというか考え方というのはね。オープン戦の時期にしか出来ないこともたくさんある。それもローテが決まっていない状態だったら、出来ないことですから。

 -年齢を重ねて

 能見 若い子とは違うし怖さも知っている。試合の流れも必ずある。もう力で抑えるわけではないので、考えながらです。若い頃は少々甘めでもファウルをとれて、余裕もある。でも勢いで押せなくなった。だから共同作業。話し合いも重ねるようにしています。

 -年齢を重ねた財産は

 能見 全部試合を想定した行動になりました。あとは試合の流れというか、この回は嫌だなというのはたくさんある。悔やまれる1球もいっぱいあるから。

 -流れを察知する

 能見 これは経験しないと分からないですし、僕はすごく感性があったわけでもない。でも年々ですね。雰囲気、視野の広さ。それから試合の状況。バッターの特徴と、自分の相性。頭のなかに入っている情報、点となってるものをつなげることを考えています。

 -かなり考えている

 能見 この場面では(ヤマを)張ってこないだろうとか。ピンチになればなるほどそうです。スコアラーの方が持ってきてくれる状態のいい選手、悪い選手の情報もそう。自分の相性のいい打者、悪い打者もあるので、照らし合わせながら。本当にいっぱい要素があるので、取捨選択も大事になってくる。何を大事にするか。もう真っすぐで押せないので、緩急をつけたり、左右、前後、奥行きまで使ったりとか、確かにすごく考えるようになりましたね。

 -負の情報もある

 能見 投げるときは雑音は消したいんです。取捨選択したら、マイナス要素を持ちたくない。決めたこと以外は考えたくない。

 -表情を変えないのもマイナス要素を消すため

 能見 投げていく上で感情はもちろん必要だと思います。出してもいい。人それぞれで、でも僕は出さないようにしています。一喜一憂は出来ないから。それは僕らの仕事ではない。

 -感情は動く

 能見 もちろん。でも基本は試合が終わるまで分からない。だから本塁打を打たれて、がっくりしますけど、でも試合は終わっていない。それを特に野手には見せたくない。野手からしたら「俺ら点取らないと思ってるの?」って。

 -100勝が迫る

 能見 出来たらいいし、そこで終わりではないという気持ちもある。ただ、ここまで出来ると正直思わなかった。1人で出来るものではないですから。点を取ってもらわないと勝てない、リリーフの方の力も当然ある。いろんなものが詰まってます。でも歴史的には、普通ですよ(笑い)。200勝の半分ですからね。

 -優勝への思いは

 能見 1年目に雰囲気は経験させてもらいましたけど、そこに素直に喜べる自分もいなかった。ずっとしたいと思ってやってきましたけど、なかなか縁がないので。どれだけ周りの人が幸せになれるかというのもある。僕はとにかく元気よく投げたいですね。【取材・構成=池本泰尚】

 ▼能見が100勝を達成すれば、阪神生え抜き投手では11人目(外国人バッキー含む)で、左腕では江夏豊、山本和行に続き3人目。生え抜き投手の到達は、85年の山本以来、実に33年ぶり。能見は現在38歳10カ月。通算100勝到達の球団生え抜き投手最高齢は山本の35歳11カ月で、大幅更新が既に確定している。なお、球界最年長到達は下柳剛(ダイエー-日本ハム-阪神)の39歳11カ月。