広島薮田、中継ぎ2戦目で勝利投手 首位浮上に貢献

広島対ヤクルト 5回表のピンチを切り抜けた薮田(左)は田中とタッチをかわす(撮影・渦原淳)

 広島薮田和樹投手(25)が、復調気配の2勝目を挙げた。ヤクルト4回戦(呉)で、4回途中で降板した先発九里からバトンを託され、同点の場面で登板。いきなり迎えたピンチをしのぐと、1回2/3を無失点。開幕ローテから脱落し、中継ぎに配置転換されて2戦目で白星を手にした。チームはリーグ最速で10勝に到達。3連勝でDeNAを抜いて、再び首位に浮上した。

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 小雨が降り続く呉のマウンドで、薮田が何とかヤクルト打線の勢いを止めた。4回、九里が山田哲に同点2ランを被弾。なおも1死一塁の場面で出番を告げられた。青木、雄平に連打を許して満塁。川端を迎えた大ピンチにも、薮田は落ち着いていた。

 「ゲッツーも頭に入れていた。去年は左打者に苦手意識はなかった。そんな自信を思い出しながら投げていた」。今季は左打者に打率4割以上打ち込まれているが、昨年は1割8分4厘に抑え込んでいた。

 いいイメージを描きながら、懸命に投げ込んだ。カウント1-1からの3球目は130キロのツーシーム。ボテボテのゴロが目の前に転がってきた。冷静に本塁へ投げ、会沢が一塁へ転送する併殺が完成した。

 その裏に田中の勝ち越し打が生まれた。続投した薮田は5回も走者を背負ったが、何とか踏ん張って後の投手陣に託した。チームの3連勝、首位浮上に貢献。「少しずつ腕が振れてきたかなというのはある」と復調を感じ取った。受けた会沢も「少し開き直れていたかな」と振り返った。

 開幕ローテ右腕が、最初の先発2試合で制球難に苦しんだ。10回1/3で実に14四球。13日巨人戦から中継ぎへの配置転換を命じられた。「自分のフォームでしっかりと投げられていなかった。どんな場面でも中継ぎとして、しっかり投げるだけ」。悔しさを顔に出さず、まずは全力で腕を振るという原点を見つめ直している。

 手にした2勝目にも、薮田に笑顔はない。「まだ今は目先の結果じゃなく、自信を持って腕が振れるようにしたい」と誓った。畝投手コーチからは「はい上がってこい」のゲキを飛ばされている。「自分も、そのつもりでいます」と応えた薮田。好内容の投球を続け、信頼を取り戻していくしかない。【大池和幸】