阪神ロサリオ、待望の猛打賞 貯金ロード任せたで

中日対阪神 7回表阪神1死一塁、ロサリオはこの日3安打となる左前打を放つ(撮影・前岡正明)

 ロサリオ、お目覚め! 阪神ウィリン・ロサリオ内野手(29)が来日15試合目で待望の3安打猛打賞を記録した。逆転した6回には中日柳から中越え二塁打を放ってチャンスを広げた。開幕から苦しんできた4番打者の活躍で、金本阪神が再び貯金生活に入った。

 ギュウッとバットを握りしめ、眠れる闘牛がついに走りだした。ロサリオが右、中、左への広角打法を披露し、来日初の3安打猛打賞だ。「自分のタイミングでしっかりと打つことができてよかった」。強烈だったのは、1点を追う6回無死一塁。カウント0-2と追い込まれた3球目だ。真ん中高め直球を強く振り抜くと、打球は中堅手の頭上を越えた。弾丸ライナーはワンバウンドでフェンスに到達する二塁打。目の覚めるような打球が猛虎打線の火付け役となり、この回一挙4点を奪った。

 打席でバットを握る際、右手人さし指と小指は立てて握る3本指スタイルだったが、この日は5本指で強く相棒を握りしめた。すると、初回には外角スライダーを右へ打ち返し、変化球にも対応。6回には直球をバチンとはじき返し、7回は低めのチェンジアップに体を反応させ、左前に運んだ。

 最後の1本には、あるメッセージが込められていた。開幕前の3月、オープン戦で関西に来ていた中日アルモンテを誘って食事に出かけた。2人はドミニカ共和国のウインターリーグ時代のチームメート。3番アルモンテ、4番ロサリオの強力打線を組んでいた間柄だ。ロサリオは機嫌良く肉を食べつつも「日本の投手はボールにキレがある。打てるようになるまで、まだ時間がかかりそう」と同郷の友人に不安を吐露していたのだった。同じ89年生まれで気心の知れたアルモンテの前に飛ばす一打で上昇をアピールした。

 試合前の打撃練習では片岡ヘッド兼打撃コーチに「あと5球打たせてほしい」と要望。最後の1球で左翼席最上段までかっ飛ばすと、打球方向に向かって弓矢を放つポーズを取るなど、上機嫌だった。そんなおかわり弾が功を奏した3安打だった。金本監督は「オレはいつか打つと思っているしね。それが今日からなのか、先週の日曜日からなのか。それは分からないけど、1年終われば間違いなく打ってくれているであろうという計算がある」と4番を信頼する。

 指揮官が目尻を下げても、新助っ人に慢心はない。「まだまだやることはいっぱいある。(シーズンは)始まったばかりなので、打てるように頑張ります」。頼もしい闘牛が虎をVに導く。【真柴健】

 ▼ロサリオがナゴヤドームでの中日戦で来日初の3安打。同球場での阪神選手の猛打賞は、17年8月20日鳥谷以来。外国人に限ると、15年9月5日にマートン、ゴメスがそろって3安打して以来、3シーズンぶり。97年の開場以来、チームが89勝158敗5分けの勝率3割6分と苦戦してきた鬼門で、上昇のきっかけをつかんだ。