阪神上本、ガチ勝負約束の大和の前で4打点大暴れ

3安打4打点の上本はメッセンジャーに抱きかかえられ祝福される(撮影・上田博志)

 3連勝、貯金、2位浮上や! 阪神上本博紀内野手(31)が、DeNA4回戦(甲子園)で全4得点をたたき出す大暴れを決めた。5回に逆転2点二塁打を放つと、7回にも2点打。1日DeNA戦から6打数連続安打の大暴れ。甲子園今季最多観客数となった4万6596人の、そして虎を愛する子どもたちのヒーローだ。

 上本が激しく両手をぶつけ合わせた。「よっしゃ!」と叫び、右拳をグッと握った。試合の流れを一変させ、普段は物静かな背番号00の感情が一気に爆発した。呼応するように、今季最多の観客数4万6596人を集めた甲子園のメガホンが強く大きく揺れた。

 「ランディがいつも引っ張ってくれているのはチーム全員が感じているので」

 0-1と苦戦していた5回裏だった。2死一塁から前打者の9番メッセンジャーが中前打で、一、二塁に。つなぎの一打に燃えた。左腕東の初球、真ん中カーブをフルスイング。大飛球を中堅左後方に弾ませた。一塁走者の右腕もホームインさせる逆転2点二塁打。「本当によく、メッセンジャーがホームまでかえってくれました」。試合後も仲間を気遣う姿がまた上本らしかった。

 「ガチで勝負な!」

 そう約束したのは2年半前、15年秋だった。金本監督就任直後、当時二塁のライバルだった大和と2人、甲子園クラブハウス内の監督室に呼ばれた。「レギュラーを争ってくれ」と伝えられた後、部屋を出てから2人で握手。冗談めかしながら「ガチンコ対決」を宣言することで、1歳下になる後輩の心を楽にさせた。

 2人はその後も切磋琢磨(せっさたくま)を続け、昨冬に大和がDeNAへFA移籍。上本はわざわざ後輩の自宅まで向かい、惜別の贈り物としてネクタイとワイシャツを渡したという。「頑張ってな」「頑張ってくださいね」-。熱い言葉を胸に、今は敵同士として全力で戦い合っている。

 上本は1日DeNA戦で三塁打が出ればサイクル安打達成という大活躍。この日は1点リードの7回1死満塁でも左前2点打を決めるなど、3安打で自己最多タイの1試合4打点と大暴れした。1日から6打数連続安打の離れ業を披露すれば、大和も脱帽するしかない。

 試合後は4打点にも「どうでもいいです」と控えめなスタイルに戻ったが、チームを3連勝、貯金1、そして2位浮上に導いたヒーローは間違いなく上本だ。金本監督も「チャンスで、いいところで、ほしいところでよく打ってくれました」と絶賛。鳥谷らとの二塁併用から、一気に抜け出しにかかる。【佐井陽介】

 ▼阪神上本が1四球をはさみ3打数3安打。1日にも犠飛をはさみ3打数3安打で、6打数連続安打となった。連続打数安打のプロ野球記録は91年8月1~4日のレイノルズ(大洋)、03年6月7~11日の高橋(巨人)の11打数連続安打だが、連続打数安打記録は犠飛で中断されるため、上本は1日の第4打席からの4打数連続安打となる。上本の1試合4打点は、11年7月27日中日戦で満塁本塁打して以来、自己最多タイ。