内川「期待した」三塁ゴロ一塁セーフも「H」ならず

西武対ソフトバンク 8回表ソフトバンク無死一、三塁、内川は相手三塁手のファンブルを誘う打球で先制点を奪う(撮影・栗木一考)

<西武0-5ソフトバンク>◇8日◇大宮公園

 ソフトバンク内川聖一内野手(35)の、通算2000安打はまたも持ち越しとなった。8日の西武戦(大宮)で、プロ野球史上51人目の快挙を狙ったが、5度の打席でいずれも凡退。4打席目は三ゴロ失策で決勝点は挙げたものの、大記録到達は9日以降に持ち越された。内川は王手をかけてから11打席ヒットがなく、生みの苦しみを味わっている。

 内川が2000安打へあと1本で苦しんでいる。5打席回ってきて5打数無安打。あと1本のプレッシャーからか、本来の打撃とはほど遠い。それでも、8回には無死一、三塁からワグナーの外角直球に食らいつき、三塁線へのゴロ。これを西武の外崎が本塁へ送球しようとしてポロリ。敵失ながらようやく先制点を奪い、この回打者10人で4点を挙げた。「勝てたので。一番いいのは安打だが、点が入った事実は残った。(記録が失策ではなく安打だと)人間なんで、多少期待はしましたけど、それじゃダメ」と苦笑まじりに振り返った。

 8回裏、一塁の守りに就いた内川は審判2人に熱く話かけていた。水上内野守備走塁コーチや工藤監督が慌ててかけつけるほど、身ぶり手ぶりで訴えていた。試合後、内川は「あの場で終わった話なので。状況を整えるという話だった」と多くは語らなかったが、水の浮いていたグラウンドに整備士が何度も土をまいた。雨は強まるばかり。降雨コールドとなる可能性も高まる中、何とか奪った4点を、最低でも8回裏1イニング守り切るために、ベンチの指示ではなく、主将として最善の努力をした。

 「1試合勝てたことはよかったが、結果的に僕は何も残していないので申し訳ない」と反省の弁を述べた内川だが、首位西武に今季初の0封負けを食らわした。この日、5・5差にしたゲーム差を今日9日も連勝して縮めるつもりだ。

 5日オリックス戦の2打席目で通算1999安打目を打ち、王手をかけた内川は計11打席で音なし。残り2本からは23打席、21打数1安打と、内川としては信じられないような数字が続いている。降り続く雨の中、スタンドでは父一寛さん、弟洋平さんが雨がっぱ姿で見守っていた。家族もチームメートもその瞬間を待っている。信じて4番で使い続ける工藤監督は「また明日(9日)新たな気持ちで頑張ってくれるでしょう」と期待した。苦しんだ分だけ、喜びも大きくなる。【石橋隆雄】

 ▼内川は5日オリックス戦の2打席目で通算1999安打目を打った後、遊ゴ、三ゴ、四球、中犠、三ゴ、右飛、三邪、一邪、一飛、三失、遊ゴと11打席無安打。2000安打に王手をかけてから10打席以上足踏みしたのは、08年金本(阪神)の18打席無安打以来。金本の18打席は最も難産だった。次いで75年江藤(太平洋)、80年柴田(巨人)の各17打席無安打がある。