富士大V9へ沖縄から来た“持っている”山城が輝く

13日、ノースアジア大戦で大学初打席で代打本塁打を放ち笑顔で生還する富士大・山城(左)

 北東北大学野球春季リーグは、富士大(岩手)と八戸学院大(青森)がともに8勝2敗で全日程を終え、今日26日に岩手・八幡平市野球場で優勝決定戦が行われる(午後1時開始)。リーグタイ記録に並ぶ9連覇を狙う富士大は1年生遊撃手の山城響(知念)に注目だ。13日のノースアジア大(秋田)戦の大学初打席、代打で初球を本塁打にすると、最終週の八戸学院大戦で2戦連続の先発に抜てきされ計4安打を放った。沖縄からやってきた甲子園未経験の無名ルーキーが連覇更新に貢献する。

 沖縄から彗星(すいせい)のごとくやってきた無名ルーキー山城が、湿りがちだった富士大打線を活性化させた。八戸学院大との天王山初戦に「6番遊撃」で大学初先発すると、2戦連続でマルチ安打をマーク。甲子園未経験ながら、1年生で攻守に存在感を発揮した19歳は試合後、しみじみと語った。

 山城 周りはすごい人ばかり。自信に変えてやっていく。1球で人生が変わった。野球は1球で変わるっていうのがよく分かった。

 チームの命運を、そして自分の運命までもたった1球で変えた。大学初打席となった13日のノースアジア大戦。1-2の5回に代打で登場し、初球の内角低め変化球をとらえて同点ソロをぶちこんだ。「初球から強く行こうと思った。ここで考えて変な打撃をしても駄目。思い切りの良さが自分の売り。人生で一番すごいホームラン」。負ければ自力優勝が消滅する一戦で同点に持ち込み、結果的にサヨナラ勝ちにつなげて9連覇の望みを残した。

 豊田圭史監督(34)は山城の思い切りの良い打撃を見抜いていた。Aチームのオープン戦で打席にも立てていなかったが、ベンチ入りさせて勝負どころで起用した。「初球から強く振れる。あいつは持っている」。代打本塁打で即結果を残し、天王山2連戦でも先発して気を吐いた山城も自覚していた。「1年生なので9連覇とか考えず、思い切りプレーしてミスを恐れずにやりたい」。岩手にやってきた島人(しまんちゅ)のシンデレラストーリーは、まだまだ続く。【高橋洋平】

 ◆山城響(やましろ・ひびき)1999年(平11)4月7日、沖縄・南風原町生まれ。北丘小3年から野球を始め、南風原中では軟式野球部に所属。知念では1年秋からレギュラーで、昨夏は沖縄大会16強。高校通算13本塁打。178センチ、75キロ。右投げ左打ち。家族は両親と弟2人。