<阪神9-1巨人>◇27日◇甲子園
この弾道を作り出せるから、虎党は夢を託したくなる。歯を食いしばって強振。阪神中谷将大外野手(25)は角度をつけ、青空に打ち上げた。2回無死二塁。右腕野上の初球、内角低め141キロ直球を力ずくで押し返した。長距離砲ならではの、ゆったりと大きな弧を描いた飛球が左翼フェンスを越える。待ちに待った今季1号2ラン。黄色いメガホンの大揺れはしばらく収まることはなかった。
中谷 チャンスだった。甘いボールをとらえられて良かったです。
4番糸井がファーストストライクをたたいて右中間二塁打を決めた直後、その初球を狙い打った。今季2戦2敗、防御率1・98と抑え込まれていた野上を相手に、今回はチームとして速攻勝負を敢行。片岡ヘッド兼打撃コーチは「データも出ていたので、やり返すという気持ちでやってくれた」と納得顔だ。高卒2年目才木を素早く2点で援護する1発。金本監督も「昨日の勢いをそのまま持ち込んでくれて、いいホームランでした」と褒めたたえた。
自分に厳しい。なかなか1軍で打線が本調子に戻らなかった5月上旬。周囲から「中谷待望論」が沸き起こる中、本人は「2軍でも打てていない選手ですからね。まだ上がれるわけないですよ」と誰よりも冷静だった。前日26日は自身初のサヨナラ打を達成。指揮官からは、トップを作る際に左肩が入りすぎなくなった点を評価された。それでも浮かれる様子はなく「自然と打席に入れているのはいいかなと思いますけどね」とサラリ。一瞬の気の緩みも良しとしない。
そんな男だから、試合後の表情は険しかった。8点リードの9回表1死満塁。左翼で長野の飛球を捕球し、送球に移ろうとしたタイミングでボールをこぼした。これが落球とみなされ、慌てて三塁に送球。左ゴロという形で「左-三-二」の併殺が完成した。勝つには勝ったが、巨人ベンチの抗議を呼んだ幕切れに厳しい表情。「頑張ります」。反省は必ず、自らを奮い立たせる材料に変える。【佐井陽介】