<日本生命セ・パ交流戦:ヤクルト12-6ソフトバンク>◇5日◇神宮
ヤクルトが交流戦の頂上対決となるソフトバンク1回戦(神宮)を15安打12得点で圧倒した。3年ぶりの6連勝で、交流戦首位タイに立ち、リーグ最下位を脱出した。セ・リーグ他球団は雨で試合のない広島以外の4球団が敗れ、ヤクルトは2位DeNAに1差に詰め寄った。青木宣親外野手(36)は、この日亡くなった小田義人氏(享年71)にささげる鎮魂の3号3ランを含む、3安打4打点と、チームを引っ張った。
青木の思いが、打球を後押しした。2点差に迫られた直後の4回無死一、二塁。ソフトバンク岡本の外寄り直球を、コンパクトに振り抜いた。中堅後方に上がった打球は、失速せずに大きな弧を描いてバックスクリーンへ消えた。15年以来の6連勝に「最近は投手が踏ん張っていたから、打ち勝ててうれしい。気持ちよかったです」と声を弾ませた。
この日午前10時、元スカウト部長の小田氏が肺がんで死去した。約20年間、アマ球界の原石を発掘し、プロの世界へと導いてきた。
青木も、そんな小田氏に見いだされた1人だった。03年ドラフト4巡目で早大からヤクルトに入団。早大の先輩でもある小田氏はスカウト部長で、足しげくグラウンドに通ってくれる姿を見ていた。「数日前から状態が悪いのは聞いていて、今朝(訃報を)聞きました。スワローズに縁があったのも、自分に目をかけてくれていたから。プロに入らないことには活躍することもできない。きっかけをくれた人」。恩師への思いを胸に、この日のグラウンドに立っていた。
早大時代からの思い出がいくつも詰まった神宮では、何本も本塁打を放ってきた。プロ入り後では53本目となるこの日の神宮での1本は、これまでとは感慨が違った。恩師にささげる思い出深い一撃に「そうですね…。そういう意味では良かったと思います」と神妙な面持ちでうなずいた。
チームにも加速度をつけた。4回は青木の1発を号砲に一挙7得点で、交流戦6戦全勝のソフトバンクを沈めた。青木は「ここでホークスを倒したいと思っていた。とにかくやるだけ。とにかく突っ走っていきたい」と力を込めた。「満員のファンの中で試合ができて、本当に幸せです」。この舞台へと導いてくれた天国に旅立った恩師に、まだまだ快音を届けていく。【浜本卓也】