ヤクルト交流戦初VへM4 最短15日ハム戦で確定

西武対ヤクルト 6回途中1失点で4勝目を挙げた石川(撮影・浅見桂子)

<日本生命セ・パ交流戦:西武1-3ヤクルト>◇12日◇大宮

 ヤクルトが、石川雅規投手(38)の老練な投球でパ・リーグ首位の西武を一蹴。3連勝をマークして「日本生命セ・パ交流戦」の首位を守り、10勝一番乗り。交流戦スタート時にはセ・リーグ最下位だったが、パ・リーグを蹴散らして、セ・リーグでも2位に浮上した。早ければ金曜日の15日にも交流戦の勝率1位が確定、マジックナンバーを「4」とした。

 ベテラン石川が、闘志を球に込めた。西武の山賊打線を相手に6回0/3を被安打3で1失点に抑えた。「気持ちが入って、なんとか、絶対に勝つという気持ちが一層強くなった」と吐露した。

 バッテリーを組む中村が、アクシデントに襲われた。4回1死二塁、カスティーヨの初球直球が左側頭部を直撃した。頭を抱え込み、その場にうずくまると、担架に固定されてベンチ裏に引き揚げた。意識ははっきりしており、ロッカールームでは強行出場を志願した相棒の姿に「選手会長だし、責任感の強い男。なんとか勝ちたかった」と高ぶった。

 手だれの投球術で、直球に強い山賊打線を翻弄(ほんろう)した。4回は、山賊打線のクリーンアップを3者凡退。5回には、7番森のインコースを直球で攻めてのけぞらせると、最後は123キロのスライダーで空振り三振。危険球で審判が警告試合を宣告する不穏な空気の中、内角も辞さない攻めの投球を見せた。最速でも130キロ台前半の直球は、見せ球。「攻められたことが良かった。(球種を)うまく使えた」と大半はキレのあるスライダー、シンカーなど多彩な変化球だった。丁寧にコースを突いて低めに集め、打ち気にはやる相手に的を絞らせなかった。「『日本昔ばなし』で出会ったことはありますけど…」と言う山賊を強気に仕留めた。

 交流戦での勝利数を23勝に伸ばし、歴代4位に立った。さらに今季4勝目で、既に昨年の勝利数と並んだ。160勝の節目にも「1勝1勝の積み重ね。頑張って勝つと、いろんな人が喜んでくれる」と謙遜した。チームも3連勝で、交流戦10勝一番乗り。9年ぶりの交流戦の勝ち越しが決定し、借金も残り1となった。「バックもいい守備で、後の投手陣もナイスピッチングだった。チーム一丸の勝利です」。上昇気流に乗って、燕が12球団のトップへかける。【保坂恭子】

 ▼石川が交流戦通算23勝目。交流戦の勝利数で、久保に並ぶ歴代4位タイとなった。また西武戦での勝利は07年6月5日以来11年ぶりで、連敗を6でストップ。

 ▼ヤクルトが交流戦10勝目を挙げ、09年(15勝9敗)以来9年ぶり4度目の交流戦勝ち越しを決めた。交流戦10勝一番乗りは06年以来。4月14日以来のセ・リーグ2位に浮上した。

 ◆交流戦1位の行方 ヤクルトが西武に勝ったため2位以下の自力1位がなくなり、1位へのマジックナンバーを4とした。早ければ15日にも球団初の最高勝率が決まる。2球団が勝率、勝利数で並んだ場合は(1)直接対決成績(2)交流戦18試合のTQB(得失点率差)の順で順位を決定。3球団以上が並んだケースは(2)で順位を決める。ヤクルトは2位4球団のうちソフトバンク、オリックス、ロッテに勝ち越し。TQBも現時点では12球団トップで、他球団に並ばれても有利な状況にある。