東日本国際大・船迫全国1勝“新兵器”で左打者翻弄

東日本国際大対神奈川大 東日本国際大先発の船迫の投球フォーム。サイドから右腕をしならせ、最後は腰に巻きつくほどダイナミックだ(撮影・柴田隆二)

<全日本大学野球選手権:東日本国際大1-0神奈川大>◇12日◇1回戦◇神宮

 2年ぶり13度目出場の東日本国際大(福島・南東北)が神奈川大(神奈川)を1-0で下し、4年ぶりに初戦を突破した。先発右腕の船迫(ふなばさま)大雅(4年=聖光学院)が6回途中まで5安打3奪三振無失点。2番手右腕の粟津凱士(かいと、4年=山本学園)も3回2/3を投げ1安打4奪三振無失点に抑えた。初回に先制した1点を2人で守りきり「スミ1無失点リレー」を完成させた。

 横から伸びる右腕をテンポよく、ムチのようにしならせた。船迫は174センチ、72キロの体を目いっぱい躍動させて、神宮の杜(もり)で輝いた。粟津のリリーフこそ仰いだが、この日最速143キロの直球をコースに投げ込み6回途中まで無失点。3度目の挑戦で全国初勝利を挙げた。

 船迫 率直にうれしい。思い通りの投球はできなかったけど、野手が助けてくれた。テンポよく投げて、流れをつくっていこうと思った。無我夢中で1球1球を投げていた。

 念願の全国1勝だった。入学からエースを任され、7シーズン通算で31勝(4敗)をマークする絶対的エースにとって、全国の思い出は悪夢でしかなかった。1年時から2年連続で全日本に先発したが、ともに初戦敗退。「リーグでは勝てても、全国ではボコボコにされていた」。2年前の立命大(関西学生)戦では右横手投げの船迫にとって、球の出どころが見えやすく苦手とする左打者から、8安打を浴びて6回4失点KO。対策が必要だった。

 昨年からツーシームを習得し、投球の幅を広げて全国に乗り込んでいた。この日は130キロ台で左打者の外角へ逃げるように沈む新兵器を駆使し、7人の左打ちが先発した相手打線を5安打に封じ込めた。「ランナーがいる時はツーシームで芯を外してゲッツーも取れた。全国で結果を出してナンボ。全国での結果が自分の価値を高めると思っていた」と胸を張った。

 粟津の存在も大きかった。リーグで2枚看板を形成した盟友が後ろに控えることで、全力で投げることができた。宿が同部屋で緊張で寝られない船迫を、粟津がバカ話でリラックスさせてくれた。「6回途中で降板したけど、粟津が助けてくれた。2人で投げ抜いていきたい。先を見ず、相手をぶっつぶしていきたい」。今日13日の2回戦は京都学園大(京滋)と激突。船迫の右ムチが、しなりまくる。【高橋洋平】