ロッテ・ボルシンガー、涌井と作戦会議でトップ8勝

ロッテ対巨人 来日初完封勝利を飾り、雄たけびを上げるロッテ先発のボルシンガー(撮影・小沢裕)

<日本生命セ・パ交流戦:ロッテ1-0巨人>◇16日◇ZOZOマリン

 ロッテのマイク・ボルシンガー投手(30)が来日初完投初完封で、ハーラートップタイの8勝目を挙げた。初回のリードを守りきる「スミ1完封」。巨人打線に三塁を踏ませず、散発4安打に抑え込んだ。シーズン7連勝は球団外国人史上初の快挙。ともに完投の巨人田口との投手戦を制し、チームの連敗を2で止めた。

 ボルシンガーは入魂の112球目に、勝負球ナックルカーブを選んだ。大きく内角に落とす。巨人の代打大城に空を切らせると、両手で力強くガッツポーズ。両腕を広げ歩み寄った女房田村と、熱い抱擁を交わした。「少ないチャンスから味方が1点取ってくれた。楽しく自分のピッチングができた」。初回の1点のリードを守りきった。

 4月6日ぶりの中5日も何のその。糸を引くように変化球を操った。投手コーチとのミーティングには前日投げた涌井に入ってもらい、打者の傾向をインプット。唯一のピンチといっていい無死一、二塁の場面を初回に迎えたが、「要注意の打者」に挙げていた陽岱鋼と阿部を、ともに内角を意識させてからの外角球で手玉に取った。

 「ポジティブ・シンキングは偉大」が信条。スライダーとカーブ、動く速球でゴロの山を築く投球スタイルが持ち味だ。「ランナーを出してもパニックにはならない。ゴロを打たせてダブルプレーにすればいい。取れると思っている」。初対戦の相手を研究する勤勉さに加え、自信と、余裕がある。

 5月4日の日本ハム戦から、すべて違うチームを相手に7連勝。外国人投手の球団連勝記録を更新した。これまでは援護点の多さに助けられたこともあった。だが今回は来日初完投にして完封勝利。井口監督は「一番いい投球だった。安心して任せられる」と信頼を寄せた。

 まもなく一緒に来日しているローレン夫人(31)が第1子の男児を出産予定。「今日は何回投げるの?」と送り出され、朝、幕張の空を見上げながらゲームプランを考えた。9回投げたと、愛妻に胸を張って言える。【鎌田良美】

 ▼ボルシンガーが来日初完封勝ち。巨人戦は初登板で、2リーグ制後に巨人戦初登板で完封勝ちは、この日と同じ「スミ1完封」だった16年5月27日岩貞(阪神)以来11人目。外国人投手では09年10月2日ランドルフ(横浜)以来4人目だ。ボルシンガーは5月4日日本ハム戦から7連勝。これまでロッテの外国人投手は6連勝(過去5人)が最高で、7連勝は球団史上初めて。

 ◆マイク・ボルシンガー 1988年1月29日生まれ、米国テキサス州出身。アーカンソー大から10年ドラフト15巡目(全体451位)でDバックス入りし、14年メジャーデビュー。15年にドジャースで6勝するなど、メジャー通算48試合で8勝19敗、防御率4・92。今年ロッテに入団し、3月31日楽天戦で来日初登板初勝利。今季年俸は9200万円(推定)。185センチ、97キロ。右投げ右打ち。