<東北福祉大優勝の舞台裏・下>
東北福祉大(仙台6大学)の14年ぶりの優勝は、投手陣の飛躍なくして考えられなかった。大塚光二監督(50)は優勝後の会見で胸を張った。「今年は先発できる投手を3~4人つくってきたし、中継ぎもいける。この春はうまくいった」。例年以上に整備が進んだのには理由があった。昨年まで楽天のスカウトを務め、今年から同大職員に復帰したOB上岡良一氏(51)が臨時コーチとして投手陣に接したのが大きかった。
昨年までは指導スタッフに投手出身者がいなかった。上岡氏の指導法は極めてシンプル。今まではがむしゃらに投げ込んでいた投球練習が主で、中にはフォームを崩す投手もいた。今春からは、ピンチを想定して1球1球丁寧に投げ込むスタイルに変更させた。
上岡氏 いくら練習で投げたって、打者も走者もいないから本番とは違う。いかに自分の中でプレッシャーをかけて投げられるか。キャッチボールからフォームを意識させて、丁寧に投げさせた。
上岡氏の指導を純粋に守り、急成長した1年生左腕がいた。今春のリーグ戦で2試合3イニングのみの登板だった三浦瑞樹(盛岡大付)が大会では新人らしからぬ強心臓ぶりを発揮。3試合で計5イニングを無失点に抑え、「ピンチでの登板はあると言われていたけど、丁寧に投げて自分の投球はできた」と自信満々だった。上岡氏も「台頭した三浦はブレずにやっていたし、意識が高かった」と評価した。
優勝決定後、上岡氏は選手から胴上げに呼ばれると、目に涙をためながら宙を舞った。気持ちで打つ打線に、整備された投手陣。そして、信頼することで選手の奮起を促してきた首脳陣の三位一体でつかんだ大学日本一だった。(おわり)【特別取材班】