阪神北條4打点、前夜の“判定負け”うっ憤晴らし

ヤクルト対阪神 1回表阪神1死満塁、北條は左越え三塁打を放つ(撮影・足立雅史)

<ヤクルト7-15阪神>◇6月30日◇神宮

 鬱憤(うっぷん)を晴らす大勝や! 猛虎打線がヤクルト8回戦(神宮)で大爆発し、15安打15得点で勝利を飾った。阪神北條史也内野手(24)が初回に燕を突き放す走者一掃の三塁打を放つなど、4打点の活躍。前日6月29日は虎党にとってすっきりしない判定もあったが、この日は文句なしの快勝だ。この勢いで反攻を加速させるで~。

 北條がバットを体に巻き付けた。窮屈になってもいい。内角低め144キロ直球に食らいついた。力を込めた打球は左翼手の頭上を越え、フェンス手前で大きく跳ねた。1回。2点を奪い、なおも1死満塁で三塁打。「三振だけはしないようにと思った。風もあったし、いい形でつながってよかった」。感情を爆発させた。

 無理もない。前日6月29日には7回の守備で、タッチを試みたと思われるプレーが、タッチしにいっていないとみなされ、その後に敗戦に直結する失点を喫した。試合後に映像を見返したりもしたが「終わったことはしょうがないので切り替えて」。その分、グラウンドで暴れればいい。2回にも右前適時打を放ち、自己最多となる1試合4打点をマーク。後味の悪い一戦から一夜明け、嫌なムードを振り払った。

 大振りせず、コンパクトに切り裂いた。春先は思うような結果が出ず、鳴尾浜でくすぶっていた。何かを変えなければ前に進めないと決断。左足の上げ方を変更した。意識は体の軸がぶれないように動きを小さく。二人三脚で取り組んだ浜中2軍打撃コーチは「今年の最初の方は左足をグワっと上げていたけど、すり足に変えた。上体のブレがなくなって、ボールを引きつけられて見極められている。ミスショットも減って、食らいついていけている」と太鼓判を押した。その結果、ウエスタン・リーグでトップの46四球を選んだ。球筋を見極められることで勝負強さも増して同リーグトップの34打点。満を持して1軍舞台に返り咲き、輝きを増してきた。

 終わってみれば15安打15得点の猛攻。金本監督は先発全員安打を記録した野手陣に「今日みたいにホームランなしで15点取れるんだから。外野の間を抜く気持ちを甲子園でも持って、やってほしいですね」と笑顔の注文だ。「凡退しても、次と思ってやっています」と北條。失敗は恐れず、取り返す。悔しさを乗り越えた背番号2が、また大きくなった。【真柴健】