巨人宇佐見、つないでくれた好機に父の教え実践V打

巨人対DeNA 7回裏巨人2死二、三塁、中越えに勝ち越しの適時二塁打を放つ宇佐見。投手三上(撮影・野上伸悟)

<巨人6-5DeNA>◇3日◇東京ドーム

 巨人の「壁ドン」がさく裂した。宇佐見真吾捕手(25)がDeNA12回戦(東京ドーム)の7回2死二、三塁、代打で決勝の勝ち越し2点適時二塁打を放った。直前の2死満塁から同点2点適時二塁打を打った陽岱鋼外野手(31)との2連続フェンス直撃打で試合を決めた。劣勢から2度追い付く1点差勝利。伏兵の一振りで、5位転落の危機を逃れ、3位浮上に成功した。

 宇佐見の「壁ドン」がさく裂した。同点の7回2死二、三塁、代打で登場。DeNA三上の外角高め150キロ直球をねじ伏せた。「入るかなと思ったんですけど」と手応え十分の一撃はドーンと勢いよくバックスクリーン左のフェンスをたたいた。陽の同点打に続く、決勝の2点適時二塁打に「みんながつないで入れた打席。とにかくつなげればという気持ちでした」と笑みがこぼれた。

 伏兵がチームを救った。DeNA先発バリオスの前に5回まで無安打。2点を追う6回に代打の切り札・阿部のカードを切らざるを得なかった。7回に残された左の代打は宇佐見、吉川尚、重信。今季わずか出場6試合目だった宇佐見は「一瞬で集中しました。少ないチャンスで結果を残さないと」と気持ちを高ぶらせて結果を残した。

 つながれた打席での集中力は高い。ソフトボールをやっていた小学3年時、監督だった父に怒鳴られた。当時はエース。失点時にマウンドでふてくされた態度を取ったのが原因だった。「野球は1人じゃできないと、めちゃくちゃ怒られました。後ろで守る人がいないとアウトにできないし、攻撃もつながないと点は取れない」。今でもその言葉を胸に刻み、チーム一丸を最優先に打席に立つ。

 結果を残すための執念を燃やしていた。今季、背番号は52から27へ変更。しかし、左手首の故障などで1軍昇格は6月13日と出遅れた。「いい番号をもらって、見合った成績を残さないと。何とか巻き返さないとと思っていた」と振り返る。殊勲の一打に高橋監督は「良い仕事をしてくれた。代打でもスタメンでもチャンスがある」とほめた。

 2度の劣勢をはね返し、6勝15敗と大きく負け越している1点差試合を勝ちきった。前半戦ラストの9連戦初戦を白星でスタート。勢いに乗り、猛アタックを仕掛ける。【島根純】

 ◆宇佐見真吾 うさみ・しんご。1993年(平5)6月4日、千葉県松戸市生まれ。市柏では甲子園出場なし。城西国際大を経て、15年巨人ドラフト4位。17年8月8日阪神戦でプロ初出場し、同年4本塁打。今季年俸は1700万円(推定)。181センチ、87キロ。右投げ左打ち。