広島首位ターン 先頭打者弾田中が口にした自覚

広島対ヤクルト 前日誕生日だった田中(右)にお立ち台でバースデーソングをプレゼントするジョンソン(撮影・栗木一考)

<広島4-2ヤクルト>◇4日◇マツダスタジアム

 独走じゃあ~! 広島の1番、田中広輔内野手(29)が4号ソロを含む2安打1打点2得点で打線をけん引した。1回に今季2度目、自身7本目となる先頭打者弾で打線に火をつけると、5回は左前打から中押し点をお膳立て。チームは2連勝で貯金を今季最多タイの12とし、球団初の3年連続の前半戦首位ターンを決めた。

 広島の切り込み隊長は、初球から集中力を研ぎ澄ましていた。ヤクルト先発ブキャナンの浮いた初球真っすぐを田中は逃さなかった。捉えた打球は左翼席の看板にぶち当たる先頭打者弾。9試合連続となる1打席目の出塁は最高の形となった。「打撃は水もの。打てないときでも四球も取っていますし、僕の役割はそういうところ。率にあまりこだわらず、自分の仕事を見失わずにやってきた」。打率2割6分4厘も出塁率は3割8分4厘に跳ね上がる。

 5月に完封勝利を献上した右腕の出ばなをくじく1発が、チームに勇気を与えた。菊池が二塁打で続くと、丸がきっちり中前打で追加点を奪った。「広輔がいい打撃をしてくれて、みんなが乗っていけた」と丸。切り込み隊長が、広島打線を勢いづかせた。5回も田中は左前打をバレンティンが後逸する間に三塁を陥れ、丸の適時打で生還した。

 前日3日に29歳の誕生日を迎えた。ナイター試合が降雨中止となったことで家族に祝ってもらい「ゆっくり過ごせました」と笑顔。ただ、チームでは中堅となり、引っ張る立場だ。「もっともっと、しっかりしていかないといけない」と自覚を口にする。

 同世代のタナキクマルで計6安打3打点4得点と勝利に導いた。緒方監督は「丸が打って欲しいところで打ってくれる。チャンスメークする1、2番。今日も打線が先制し、うちのペースで野球をやれた」とたたえた。広島の得意の形で連勝。前半戦首位ターンを決めた。「変わらず1戦1戦」。頂点にたどり着くまで、田中がチームの旗手となる。【前原淳】

 ▼広島が球宴までの前半戦首位を決めた。広島の首位ターンは3年連続8度目。セ・リーグで3年以上続けて前半戦首位は51~56年巨人、65~71年巨人、74~76年阪神、87~90年巨人、12~14年巨人に次いで6度目となり、広島は初めて。16年の前半戦終了時は2位巨人に10ゲーム差、17年は2位阪神に8ゲーム差。3年連続で5ゲーム差以上つけて首位ターンならばプロ野球史上初めてとなるが、今年は何ゲーム差で前半戦を終えるか。