熊本に故郷広島に…柳田が剛柔打、野球の力で勇気を

全セ対全パ 8回表全パ2死一、三塁、柳田は左前適時打を放つ。投手山崎(撮影・宮崎幸一)

<マイナビオールスターゲーム2018:全セ1-5全パ>◇第2戦◇14日◇リブワーク藤崎台

 「マイナビオールスターゲーム2018」第2戦が14日、リブワーク藤崎台(熊本)で開催され、全パのソフトバンク柳田悠岐外野手(29)が剛柔の二刀流で「プロ野球の力」を発信した。本塁打競争では豪快スイングで特大弾を量産。8回はDeNA山崎康晃のナックルボールを左前に技あり適時打と3年連続両リーグ最多得票男がファンを沸かせた。試合は全パが5-1で快勝。昨年から全セに4連勝で通算成績を84勝78敗11分けとした。明日16日から後半戦がスタートする。

 ギータが「野球の力」の象徴となって熊本のファンを沸かせた。全パの1番・中堅で先発出場した柳田は初回、「全球直球勝負」を宣言された菅野と対決。初球147キロをファウル。2球目の高め146キロをたたき二ゴロに倒れた。「言ってもらって光栄。本塁打か三振かくらいで」とフルスイング。「やられました。詰まりました」と苦笑いしたが、昨年は空振り三振だっただけに「日々成長」とちょっぴり喜んだ。

 8回には山崎康が球宴限定で投げてきたナックルを左前へはじき返す技ありの適時打。「最初は何か分からなかった。人生初のナックル。初めて打ちました」。見たことのない軌道も3球続けて投げられたことで、フルスイングではなく軽打で対応した。

 試合前のホームランダービーでは、打球スピード王に輝いた。1回戦でバレンティンに負けたものの、21スイングで10本塁打。場外にも2本アーチをかけた。打球の平均速度が出場した8選手(第1戦含む)で最も速い、平均164キロを計測。「日産ノート e-POWER賞」として電気自動車(EV)をゲットした。「たくさん素振りをしたおかげかな」と笑った。

 16年の熊本地震後、球団の活動で柳田も被災地を訪問し、募金活動も行ってきた。17年5月には公式戦前日に被害が大きかった小学校を訪問。子どもたちの笑顔と元気さに「打てないくらいどうでもいいかな」と、逆に気持ちを奮い立たされた。外野スタンドには熊本県内の野球少年3300人がいた。「熱気がすごかった。僕も子どもたちにもいい思い出になった」と、熊本での球宴が盛り上がったことを喜んだ。

 今月には西日本豪雨で九州だけでなく中国、四国地方なども大きな被害が出た。柳田の故郷広島も損害が大きい。「実家は大丈夫だったんですが、友達の家などが困っている」と、被災した友人と連絡を取り合い状況を聞いている。「本当に困っている人は野球どころではない」。そう思っているからこそ、軽々しく発言はしない。「自分のできることをやる」。思いは行動で示す。この日の球宴のように、後半戦もヘルメットを飛ばすほどのフルスイングで日本を元気にする。【石橋隆雄】