ZOZO社長「球団持ちたい」大富豪が参入宣言

球団所有に意欲を示した前沢社長

 衣料品通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイの前沢友作社長(42)が17日、短文投稿サイトのツイッターに「【大きな願望】プロ野球球団を持ちたいです」と書き込み、プロ球団の所有に意欲を示した。千葉・幕張に本社を置くスタートトゥデイは、ロッテの本拠地球場の命名権を16年12月から10年間取得している。買収か新規参入を意図しているかは不明だが、高収益企業を率いる若手IT企業経営者の今後が注目される。

 体格計測服やスーツ販売、ツケ払いなどでアパレル業界に旋風を巻き起こしてきた風雲児が、突然の球界参入宣言だ。昼に「大きな願望」と題し、25万人以上のフォロワー(読者)を持つツイッターに投稿した。

 「【大きな願望】プロ野球球団を持ちたいです。球団経営を通して、ファンや選手や地域の皆さまの笑顔を増やしたい。みんなで作り上げる参加型の野球球団にしたい。シーズンオフ後に球界へ提案するためのプランを作ります。皆さまの意見も参考にさせてください。そこから一緒に作りましょう!」

 同社広報部は「具体的なものは何も決まっていません。これから提案をつくりあげようということです」とし、球団買収か新規参入かは未定とした。

 前沢社長は、これまでも球界と関わってきた。10年に千葉マリンスタジアム(当時)の命名権取得を目指すも落選したが、11年1月に同球場の施設運営基金に1億円を寄付した。企業規模を拡大し、16年12月には念願の命名権を10年間総額31億円で落札した。同社によると「野球少年だった」過去があり、現在も同社内の部活動で野球部に所属する。ロッテ戦の観戦は社内イベントとして年間1度は観戦を促され、同社長も足を運ぶ。ダルビッシュ有(カブス)の元妻で女優の紗栄子とは、かつて交際していた。

 前沢社長は千葉県出身で、地元愛とスポーツ愛が強い。Jリーグ千葉のユニホームにはスポンサーとしてロゴを入れ、日本代表・本田圭佑の所属事務所が運営する幕張のスポーツ施設のネーミングライツも取得している。ロシアW杯も現地で観戦。「スポーツと音楽が人を繋げ、国境や人種や性別を超え、夢や希望や力を与えてくれる。素晴らしい、もっと感じていたい、もっと深く携わりたい」と投稿した。

 「昔からファンでした」という女優剛力彩芽と交際するなど、夢を現実化してきた大富豪社長。資産は同社株だけで5500億円(17日終値)にもなる。豊富な資金力を背景に球界に新風を吹き込むか。【斎藤直樹】

 ◆球団買収にかかる費用 11年のDeNAはTBSホールディングス(HD)から65億円で購入した。これは、02年にTBSがマルハから取得した際の140億円を大幅に下回る金額だった。04年のソフトバンクは200億円だった。ダイエー本社保有の全株式を50億円で取得し、米投資会社コロニー・キャピタルの子会社ホークスタウンから150億円でチケット、グッズ販売権など「興行権」を買い取った。それ以外に、日本野球機構へ預かり保証金として25億円の納入が必要だが、これは保有10年で全額返還される。また、25億円とは別に野球振興協力金4億円、加入手数料1億円の計5億円を納入する必要がある。

 ◆前沢友作(まえざわ・ゆうさく)1975年(昭50)11月22日生まれ、千葉県出身。東京・早稲田実業卒。早実卒業後にミュージックバンドの活動の一環として半年間渡米。帰国後に音楽CDの通販ビジネスを始め、98年にスタート・トゥデイ(現スタートトゥデイ)を設立。一時はメジャーデビューを果たしたバンドと二足のわらじを履いた。17年に米国人画家バスキアの82年の作品を1億1050万ドル(約122億円)で落札した。

 ◆スタートトゥデイ 1998年(平10)5月21日設立。所在地は千葉市美浜区。00年に組織変更し、現社名に変更。07年に東証マザーズに上場、12年東証1部に上場。ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」などを運営し、18年3月期の売上高は984億円、営業利益は326億円。「ZOZO」は想像の「像」と創造の「造」の文字をつなげた造語で「ZOZOTOWN」は想像と創造が行き交う街(タウン)を意味している。10月に株式会社ZOZOに社名を変更予定。