巨人7連勝の勢いどこへ6点差逆転負けで自力V消滅

7回裏広島1死一塁、丸に左越え2点本塁打を浴び肩を落とす上原(撮影・鈴木みどり)

<広島8-6巨人>◇22日◇マツダスタジアム

 巨人が広島に同一カード3連敗を喫し、自力優勝の可能性が消滅した。4回の攻撃を終えて6点リードも、本塁打攻勢で追い上げられた。同点の7回に登板した上原浩治投手(43)が、丸に20号2ランを打たれ万事休す。首位たたきを狙った3連戦に全て逆転負けで3連敗。昨年8月から続くマツダスタジアムでの連敗は12に伸び、ゲーム差は8に広がった。7連勝で乗り込んだ勢いが止まり、一気に正念場へと追い込まれた。

 珍しく膝に両手をつき、うつむいたまま本塁に背を向けた。同点の7回。窮地を救うために上原がマウンドに上がった。1死一塁。前打席で本塁打を放っている丸を迎えた。1ボールから外角低めを突いた137キロの直球を打ち砕かれた。「あそこまで飛ばされているわけだから…。そこで抑えてほしいと思って出してもらっている。応えられなかったのは自分の責任です。申し訳ない」。左翼席へ“悲劇の1発”を放り込まれた。

 通算100勝、100ホールド、100セーブを達成したレジェンドでもマツダスタジアムの呪縛を解けなかった。3連戦の初戦は最大7点差をひっくり返すも延長10回にサヨナラ負け。2戦目はエース菅野が投げても勝てなかった。この日は最大6点差の優勢も、勢いは止められなかった。先発今村が5回に崩れて3被弾5失点。野上も代わりばなに鈴木に同点弾を浴び、今季4度目の5被弾。6点差からの逆転負けは高橋体制では初の屈辱だ。

 7連勝の勢いを持って乗り込んだ敵地で痛恨の3連敗。しかも、3戦連続の逆転負けはダメージが大きい。高橋監督は「この3日間、結果的には同じような形になってしまったので、悔しいですけどね。首位に勝たなければなかなか始まらない。それはみんな分かっている」と唇をかんだ。首位広島とのゲーム差は8に広がり、今季初めて自力優勝の可能性が消滅。3試合で20得点、25失点の死闘を繰り広げるも白星には届かず、広島戦12敗目で借金生活に逆戻り。ダメージは代償として、ずっしりと、のしかかった。

 ただ、シーズンはまだ55試合を残す。正念場を耐えれば逆襲のときもくる。上原は「誰もが勝ちたいと思っている。1つ勝てば変わっていく。それが難しいけど、明後日からまた試合がある。それが現実。切り替えてやるしかない」と言った。悔しさを晴らすには勝つしかない。勝てば景色も雰囲気も変わる。借金1からの出直しは明日24日、倉敷から始まる。【為田聡史】

 ▼巨人の自力Vが消滅した。巨人は残り55試合に全勝した場合、98勝44敗1分けで勝率6割9分。広島は残り61試合のうち巨人戦9試合に敗れても、他カードで51勝すれば99勝43敗1分け、勝率6割9分7厘となり、巨人は広島を上回れない。昨年の自力V消滅は7月1日の72試合目で、2年連続7月中に自力V消滅は05年の7月26日、06年の7月5日以来、12年ぶり。