阪神北條21日ぶり聖地勝利呼ぶ 光星の輝き再び

阪神対広島 4回裏阪神2死一塁、北條は左越え適時二塁打を放つ(撮影・加藤哉)

<阪神6-3広島>◇25日◇甲子園

 阪神が首位広島から意地の白星をもぎ取った。ヒーローは北條史也内野手(23)だ。3回の同点打や4回の中押し打など3安打2打点。青森・光星学院(現八戸学院光星)時代に3季連続準優勝を導いた若虎が、俺の季節到来とばかりに瀕死(ひんし)の虎を救った。負けていれば今日26日にも自力Vが消滅した崖っぷちで甲子園連敗も5で止め、21日ぶりに六甲おろしの大合唱。今日の長期ロード出発前ラスト甲子園も勝って、反攻の旅に出るぞ!

 ナインの顔がようやく笑顔で輝いた。金本監督の言葉が全員の気持ちを代弁する。「本当に長かった。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」。甲子園での連敗を5で止めた。長期ロードに出る目前、聖地のファンに勝利を届けた。

 立役者は北條だった。3安打、適時打2本だ。0-1の3回。1死一、二塁からの同点左前打で打線に火を付けた。「才木も頑張っていた。早い回に追いつけてよかった」。この回、一挙4点で逆転した。次は4回。コンパクトな振りだった前の打席とは違い、豪快なスイングで内角シュートをとらえ、左越え二塁打で5点目をたたき出した。

 青森・光星学院では2年夏から3季連続の甲子園準V。3年夏は1大会4本塁打と大暴れ。この季節に、甲子園5連敗を断ち切ったのは決して偶然ではない。

 2年前の遊撃レギュラーは今季、開幕から2軍暮らし。お立ち台で包み隠さず言った。「2軍での生活で、しっかり自分の打撃を見つめ直した」。6月1日が初出場。先発18試合のうち、無安打は最初の2試合だけ。先発すれば16試合連続で安打を連ねている。

 期待が大きいから、ハードルも高い。平野打撃コーチは「言いまくります」と明かす。1、2軍問わず他のコーチから誰よりも多くの要求を与えられる。混乱しないように、増えた引き出しを1つずつかみ砕く。一流選手や、自分と似たタイプの選手を見て研究したり、自分との比較を重ねてきた。欠点と真正面から向き合える強さがあった。

 金本監督は「本当に調子がいい。少々、守備に目をつむってもという思いだけど今日は守備もよかった」と称賛した。5回。1点を返されてなお2死一、二塁。松山の痛烈な二塁ベース寄りの打球を倒れ込みながら好捕し、打者走者を刺した。直前の攻撃で1点を追加したが、すぐに1点を返されるイヤな展開。松山の打球が抜けていれば2点差。試合の流れを左右すると言ってもいい場面でのビッグプレーだった。

 「今日は貢献できてよかったけど、これから勝つために自分が何をすべきか考えながらやっていきます」。華やかな高校時代から一皮も二皮もむけた北條が、熱い夏を再び演出する。【柏原誠】

 ◆北條の甲子園 光星学院2年時(11年)の春夏、3年時(12年)の春夏と甲子園に出場。チームメートの田村龍弘(現ロッテ捕手)らとともに、夏、春、夏と3季連続準優勝を果たした。3年夏は史上5人目の夏の同一大会4本塁打の大爆発。春と夏の決勝は4番を務め、現チームメートの藤浪晋太郎投手擁する大阪桐蔭と対戦。春は4打数2安打、夏は4打数0安打だった。