<ソフトバンク4-0楽天>◇29日◇ヤフオクドーム
無期限2軍だったはずのソフトバンク武田翔太投手(25)が緊急昇格し、完封で3勝目を挙げた。先発予定だった中田がウイルス性胃腸炎のため抹消。代役ながら楽天打線に二塁すら踏ませず3安打に抑えた。5月13日の日本ハム戦以来、9試合(8先発)ぶりの白星。今季3勝はすべて完封でマークした。チームは再び勝率5割に戻した。
最後まで仁王立ちした。わずか3安打の完封劇。武田は「今日は打者に向かっていく気持ちがあった」と攻め続けた。何よりも変わったのは、投球フォーム。「昔に戻した。自然体で腕が通る位置。入団1年目の(腕の)角度が消えていた」。スリークオーター気味になっていた腕の振りを真上から振り下ろすように修正していた。
18日西武戦で自己最短の2回、7失点でKOされた。無期限2軍調整となったが、翌19日には福岡・筑後市のファーム施設でブルペンに1時間以上こもった。「今までと正反対のことをやる。でも今日で6割はできた」と、方向性は見えていた。テーマは「上から投げる」。新人だった1年目、7月から1軍に上がり8勝を挙げた当時の感覚だ。だがその後、肩の故障を重ね、再び痛める不安から腕が少しずつ下がっていた。
工夫を重ねたトレーニングを続けた。右足は通常の黒いスパイク。左足はゴム底の真っ青なランニングシューズを履きブルペンで投げた。「これで投げると踏み出した足にスパイクの歯が踏ん張れない。真上からドンッと踏めば踏ん張れる」。下半身の体重移動から修正を重ねた。腕の角度がつけば、得意のカーブもさらに縦に曲がる。この期間に宝刀も磨きをかけた。
ウイルス性胃腸炎でダウンした中田からは「すまない」とメールが来たという。「ご飯おごってもらえればいいですよ」と、武田は笑った。「(無期限だったが)最短の10日で戻ってくるつもりだった」。2軍でダラダラ過ごすつもりはなかった。
「投げる投手がいない」と嘆いていた工藤監督も、手放しで喜んだ。「想像以上。最後まで球威も、変化球のキレも落ちていなかった。次は間違いなくあります」。チームは勝率5割に復帰。武田の復活は、それ以上にチームに勇気を与えた。【石橋隆雄】
▼武田が3安打完封で3勝目。今季は3勝7敗の武田だが、1勝目の5月5日オリックス戦が1安打完封、2勝目の同13日日本ハム戦が2安打完封。シーズン1勝目、2勝目、3勝目とすべて完封で記録したのは00年河原(巨人)以来となり、パ・リーグでは67年田中勉(西鉄)以来、51年ぶり。3勝すべて完封が珍しいのに、武田は1安打、2安打、3安打と、勝利数と被安打が同じになった。