西武6点差逆転サヨナラ「1勝以上のもの」辻監督

西武対オリックス 10回裏西武1死一塁、サヨナラ打を放つ森(撮影・狩俣裕三)

<西武7-6オリックス>◇14日◇メットライフドーム

 ヘッドスライディング3連発で、西武が今季6度目のサヨナラ勝ちを決めた。延長10回に森友哉捕手(23)が今季3本目のサヨナラ打となる適時二塁打。1回に先発多和田真三郎投手(25)が6点を失う逆境も、真夏の山賊たちは決してあきらめず、ひっくり返した。2位日本ハムに今季最大タイの6ゲーム差を付け、西武は18日にも優勝へのマジックが点灯する。

 最後は山川が頭から飛び込んだ。延長10回1死一塁。森の打球が左中間を破り一塁から巨体を揺らして全力で走った。サヨナラのホームに生還したユニホームは泥だらけ。この回2度目のヘッドスライディングに「ギリギリだと思って走ってました。きつかったですけど…。(ヘッドスライディングは)今までないと思う。極力しないようにとは思ってますが、こうなったら関係ない。気持ちの問題」とうなずいた。

 主将と4番のあきらめない姿勢が劇勝を呼び込んだ。まずは浅村。10回先頭で打球は三ゴロ。アウトのタイミングと思われたが、迷わず頭から滑り込んだ。キャプテンの「何とかしよう」という気持ちに押されたか一塁白崎がまさかの落球。足掛かりを作った。そして山川。三塁正面への打球に併殺打もよぎったが「無我夢中。何とか1人生き残ろうと。(浅村の走塁も)頭に当然ありました」とド迫力のヘッドスライディングでゲッツーを阻止した。

 先輩2人のそんな姿に、森が燃えないわけがなかった。「浅村さんの(走塁)ですごいスイッチが入った。山川さんまでするとは思わなかったですけど絶対打たないといけないと思った」。勢いそのままに、初球のフォークをはじき返した。一塁から激走する山川は視界に入っていたが「なかなか進んでいなくて、どうかなと思ったけど、勝ててよかった」と満面の笑みをみせた。

 初回に大量6失点。劣勢を強いられたが、誰も下を向かなかった。自らの悪送球で2点を与えていた浅村は「自分のエラーから始まったので、最後まで絶対気持ちを切らず、何とか1点ずつ返していけば追いつける」と信じた。山川も「2回以降はサブロー(多和田)がゼロで抑えてくれた。あきらめない気持ちがあれば、いい方向にいくことが多い」と力を込めた。

 点差は関係ない。必ずひっくり返す。辻監督は「チームの状態がいいのは大きな目標があるから。今日は1勝以上のものがある」とたたえた。目標=10年ぶりの優勝。最短で18日にもマジックが点灯する。このまま一気に、ゴールテープを切る。【佐竹実】

 ▼西武が6点差を逆転して今季6度目のサヨナラ勝ち。6点差以上の逆転勝ちは4月18日日本ハム戦(0-8→9-8)に次いで今季2度目で6点差以上の逆転勝ちをシーズン2度記録するのは03年以来、15年ぶり。8点差を逆転した日本ハム戦も最後は森がサヨナラ二塁打を放っており森のサヨナラ打は7月26日オリックス戦を加えて今季3本目。西武でシーズンにサヨナラ安打を3本打ったのは02年松井以来、16年ぶり。