石川先輩助言で再認識 原樹理緩急42キロ差で5勝

8回2安打無失点で今季5勝目を挙げファンに手を振る原(撮影・清水貴仁)

<阪神0-4ヤクルト>◇14日◇甲子園

雨にも負けず、阪神にも負けず-。ヤクルト原がほぼ完璧な投球で阪神を圧倒した。140キロ台中盤の直球を軸に変化球を交え、5回2死まで完全投球。ナバーロに初安打を許した後も、動揺せずに凡打の山を築いた。8回2安打無失点で5勝目。打っては6回に適時打を放つなど投打で躍動し、チームを3連勝に導いた。「安打も少なく良かった」とホッとした表情を見せた。

好投の要因は最大差42キロの緩急だ。この日最速146キロの直球と104キロのカーブに、120キロ台のスライダーやカットボール、フォークをまぶした。強気のシュートでグイグイ押したかつてのスタイルとは別人の投球術だった。

通算162勝左腕が緩急の大事さを再認識させてくれた。球界屈指の技巧派の石川から「長い回を投げるなら目線を変えるのは必要。だから緩急がいる。カーブを使えば、もっと楽にいける」と助言された。7回2死で糸井を108キロのカーブで崩して二ゴロに仕留めるなど硬軟織り交ぜ、「的を絞らせないようにできたかな」とうなずいた。

7月の先発復帰後は8戦4勝2敗と安定感を見せる。小川監督からも「緩急をよく使えた。ナイスピッチング」と称賛されたが、原は「今日は今日」と線を引いた。「残り試合が少ないので、そこが一番のポイント。そこでいい投球をしてこそ良かったなと思う」と先を見据えた。残り17試合で3位巨人とは4ゲーム差。たくましさを増す右腕が、ヤクルトをさらなる高みへと引き上げていく。【浜本卓也】

▼ヤクルト原がビジターではプロ1年目の16年5月8日阪神戦(甲子園)以来2度目の勝利。ビジターでは13連敗中だった。