金本監督が活躍予言「良くなった」大山3発6安打

8回表阪神1死一、二塁、大山は左越え3点本塁打を放つ(撮影・山崎安昭)

<DeNA4-20阪神>◇16日◇横浜

阪神2年目の大山悠輔内野手(23)が、プロ野球史上初の「6打数6安打&3本塁打」をやってのけた。3回に左翼へ7号ソロを放つと、打者一巡の2打席目も左翼へ8号2ランを運んで1イニング2発をマーク。8回にも9号3ランを放った。全6打席で安打し、自己最多の7打点。若き主砲の打撃が、プロ野球初の2度の1イニング9得点など、4年ぶりの20得点を導き、チームを1日で最下位脱出、4位に浮上させた。CSは射程圏だ。

6打数6安打7打点。金本監督は、文字通り相好を崩した。「すごいね。何打点? 667!? いつもこれくらいは無理やろうけど。何かつかんだのか、分からんけどね。つかんでいて欲しいわね!」。最下位脱出以上に、若き3番の成長は、格別の喜びだ。

実は、大山の猛打を予告していたのが、他ならぬ金本監督だった。試合前練習中、三塁側ベンチからフリー打撃を見て、言った。

「大山どうや? 良くなったやろ?」

力まずに遠くへ飛ばすフォームに納得の表情を浮かべた。かつて、練習でも打ち損じて、自信なさげに首をかしげていた姿も今はない。「(ミートポイントを)前で打つよう、やらせているのよ」と、片岡ヘッド兼打撃コーチの指導の成果に手応えを感じていた。

9月は12試合目で7本塁打を荒稼ぎ。試合後の同監督は「ステップに行く時に上体が前に出ていかない。だから、球をしっかり見えるわね。そこで、いいポイントで打てる」と、予言の種を明かした。

リーグ4人目の1試合6安打。プロ野球初の3本塁打を含む6安打。1イニング2本塁打は阪神史上5人目で、日本人では82年の掛布以来。まさに快挙だ。大山は「同級生の(藤浪)晋太郎が先発でしたし、なんとか同い年の僕が助けてあげたいと思っていた。昨日は最後の打者で終わっていたので、その意味ではよかったです」と、記録よりも勝利を喜んだ。

横浜スタジアムは白鴎大時代の思い出の地だ。ドラフト1位で阪神入りが決まった直後の16年10月31日、関東地区大学野球選手権・横浜商大戦で決勝2ランを放った。翌11月1日は中央学院大に敗れ、引退した。「野球をやってきて日本一を経験できなかった。プロの世界では勝てるようになりたい」。原点で覚醒した背番号3が、大砲ロードを行く。【古財稜明】

▼大山が6打数6安打、3本塁打の大当たり。1試合の最多安打は49年大下(東急)の7安打で、6安打以上は03年城島(ダイエー)以来9人目。セ・リーグで1試合6安打は51年大沢(大洋)54年渡辺(阪神)74年高田(巨人)に次いで4人目のタイ記録だ。城島は2打席目が凡打で、第1打席から6打席連続安打は74年高田以来、44年ぶりになる。過去に2本塁打を含む6安打は3人いたが、3本塁打を含む6安打はプロ野球史上初の快挙だ。また、大山は3回に7号ソロと8号2ラン。1イニング2本塁打は16年ビシエド(中日)以来20人、22度目のプロ野球タイ記録で、阪神では09年ブラゼル以来5人目。イニング2本を含む1試合3本塁打は51年飯島(大映)77年大島(中日)01年城島に次いで4人目。

▼阪神選手の1試合3本塁打は、ブラゼルが10年6月29日中日戦で記録して以来、8年ぶり。日本人では、金本知憲が09年4月10日巨人戦で放って以来。なお金本は2日前の同8日広島戦でも3本塁打している。球団生え抜きに限ると、木戸克彦が85年6月15日大洋戦で記録して以来、33年ぶり。