西武M11 OB和田一浩氏の金言で力強く栗山満弾

西武対ソフトバンク 優勝マジックが点灯し「11」ポーズをつくる西武栗山(左)と中村(撮影・江口和貴)

<西武8-1ソフトバンク>◇17日◇メットライフドーム

西武に優勝マジック「11」が点灯した。2位ソフトバンクとの直接対決第3ラウンドは、10年前の優勝を知る2人が大暴れ。初回、栗山巧外野手(35)が先制の7号満塁本塁打を放てば、7回には中村剛也内野手(35)が26号3ランで試合を決めた。同い年の同期入団17年目コンビの活躍で、ライバルに3タテを食らわし4連勝。歓喜の瞬間は、最短で24日に訪れる。

「マジック点灯ー!!」とアナウンスが響いた。ドッと沸くメットライフドーム。お立ち台にそろい踏みした17年目コンビは、互いに期待することを聞かれた。

栗山 また2人そろって立てるように頑張って下さい。僕も頑張ります。

中村 特にないけど、栗山はやってくれる。僕も負けないよう頑張ります。

08年は、まだ25歳。栗山は最多安打、中村は本塁打王で、ともに初タイトル。若い時の優勝は「勢いで突っ走った」と声をそろえる。あれから10年。円熟し、やりとりにも、ほんわかした空気が生まれる。出番がない栗山に、絶不調の中村。不本意な形で始まった今季だったが、勝負の秋、これほど頼れる2人がいる。栗山は「情けない思いもしましたが、マジックがつく試合で一緒にお立ち台に立てた。うれしいですね」と素直な気持ちを吐露した。

先陣を切った栗山の集中力はマックスだった。初回1死満塁。いきなりの大チャンス。「しっかりランナーをかえそう。自分のスイングをするだけ」と念じ、打席に向かう。3球続けて見逃し、2-1からの4球目。低め146キロ直球は、見送ればボールか。が、「打てる範囲」。バットのグリップエンドに小指をかけ、目いっぱい長く持っていた。けれん味のないスイング。白球は高い軌道でバックスクリーンへ消えた。「センター方向に強い打球。理想です」と胸を張った。

普段は指2本分ほど、余らせて持つ。練習では長く持つのに「一番しっくりくるところとなると、だんだん短くなる。安心感でしょうね」と、試合では短く持ってしまう。この日の先発はミランダ。初顔を前に、球団OB和田一浩氏の言葉を思い出した。「練習では長く持って力強いスイングなのに、試合では小さくなっている。ヒットを打たないと使ってもらえないという気持ちは分かるが、練習と同じように打てばいい」。黄金時代のDNAを継ぐ先輩の金言。「練習の感じも良かった。そのまま、長く持ってやってみよう」。33・5インチ(約85センチ)をしならせ描いた軌道の先に、優勝マジックがともった。

栗山、中村に、辻監督は「ベテラン2人が非常に良いところで打っているから、今の位置にいる。2人で7打点。さすが。頼りになる」と賛辞が止まらなかった。栗山は「うっすら見えていたものが見えた。ワクワク、ドキドキです」。ゴールは近い。楽しみが止まらない。【古川真弥】

▼栗山が初回に満塁本塁打。今季の西武打線は満塁に強く、満塁では打率3割2分6厘、7本塁打、134打点。満塁で100打点以上挙げているのはパ・リーグでは西武だけで、7本塁打、134打点は広島の6本、118打点を上回り両リーグで最も多い。西武はこの日の8点を加えて今季718点となり、15試合を残して04年にマークしたシーズン最多得点の球団記録に並んだ。

▼西武に優勝マジック11が点灯した。ソフトバンクは残り全勝で87勝55敗1分け、勝率6割1分3厘。西武は残り15試合のうちソフトバンク戦4試合に敗れても、他カードで11勝すれば87勝54敗2分け、勝率6割1分7厘でソフトバンクを上回る。