西武辻監督「こいつらすごい」失策取り返す3者連発

4回表無死、浅村は右翼ソロ本塁打を放ち、三塁を回る(撮影・浅見桂子)

<楽天3-4西武>◇24日◇楽天生命パーク

クリーンアップそろい踏みプラスおかわりのソロ4発で西武が今季初の9連勝だ。1点を追う4回、3番浅村栄斗内野手(27)が30号で口火を切ると、山川が44号、栗山が8号本塁打。日本一に輝いた83年のスティーブ、田淵、大田以来チーム35年ぶりとなる3~5番の3者連発で逆転した。同点の延長10回には6番中村の27号アーチで勝ち越し。西武は最短28日の優勝に向け、マジックを6に減らした。

ソロいもソロって、ミスを取り返した。2回無死一塁で栗山が併殺打で先制の好機をつぶすと、3回には山川と浅村が失策。逆に先制点を与えた。すると4回「自分のミスで先制された。どうにか塁に出ようと思っていた」先頭の浅村が、右翼ポール際へ飛球を打ち上げた。左から右への風にも乗って、西武ファンの右翼席にポトリ。自身初の30本台に乗せる一打で、本塁打ショーが幕を開けた。

本塁打王の山川は、いつも1発狙いだ。「エラーしてたんで取り返したかった。できればしたくないですけどね」。高め直球をたたくと、逆風を切り裂き、左翼席中段まで運ぶ豪快なアーチをかけた。ベンチ前では「エラーした日は1日引きずる」と、申し訳なさそうな表情でゆりやんレトリィバァのポーズを決めた。

こうなると、中距離打者の栗山も意識せざるをえない。次の打者につなげるつもりだったが「正味(3連発は)少し頭にはありました」。140キロ直球を豪快に右中間へはじき返した。「年々パワーは衰えそうだから」と、練習ではあえて強いスイングで柵越えする。試合では「本塁打より強い打球を心掛けている。抜きすぎてもダメ。ちょうどいいところを探している」という職人技を披露した。

「栗(山)が打った時はネクストで打ちたいなと思っていた」中村は遊ゴロに倒れた。7回には悪送球でピンチを拡大。同点に追いつかれた。「内野手がエラーを3つして失点していた。何とかしたかった」。遅ればせながら、10回に決勝弾。本塁打王6度の貫禄を見せた。

リーグ最多失点、最多失策ながら最多得点で勝ち進んできた、山賊打線らしい豪快な1勝。辻監督は「(中村の決勝弾は)予感はしてた。2人エラーして本塁打。こいつらすごい。エラーしても取り返す。ウチは3、4、5だけじゃない。まさか3連発とは、そう出るもんじゃない」。35年ぶりの吉兆出現で、日本一まで打ち勝っていく。【斎藤直樹】

▼西武は4回に3番浅村、4番山川、5番栗山が続けて本塁打。西武の3者以上の連続本塁打は04年4月3日日本ハム戦以来8度目となり、浅村と山川は今季14度目のアベック本塁打。アベック本塁打のシーズン最多記録は85年掛布とバース(阪神)の16度で14度は4位タイ。外国人選手が絡まないコンビでは68年王と長嶋(巨人)に並び最多となった。浅村と山川は14度のうち6度が2者連続。シーズン6度の連続本塁打を記録したコンビは78年ライトル→山本浩(広島)以来、40年ぶり。

<主なクリーンアップ3連発>

◆85年阪神 4月17日巨人戦の7回、2点ビハインドから3番バースが逆転3ランを放つと、4番掛布、5番岡田も連続アーチ。3人ともバックスクリーンへの1発で「バックスクリーン3連発」と呼ばれ、同年の日本一の象徴的な試合として語り継がれている。

◆01年ヤクルト 7月11日巨人戦の1回、3番稲葉が先制2ラン。4番ペタジーニも続くと、5番古田は通算1500安打となる1発。シーズン2度目の3者連続アーチと好調な打撃陣がチームを引っ張り、4年ぶりの日本一を果たした。

◆17年DeNA 8月22日広島戦で、3点ビハインドの9回に3番筒香、4番ロペスの連続アーチで追いつくと、5番宮崎がサヨナラ弾。プロ野球史上初の3者連続本塁打でのサヨナラ勝ちで勢いに乗り2年連続のCS進出を果たすと、日本シリーズまで進んだ。