西武が常識覆すV 防御率、失点、失策がワースト

優勝しファンにあいさつする西武辻監督(左)とナイン(撮影・鈴木正人)

<日本ハム4-1西武>◇30日◇札幌ドーム

西武が08年以来、西鉄時代から通算22度目のリーグ優勝を決めた。

開幕8連勝でスタートした今年は、首位の座を1日も明け渡さずにゴール。開幕日からオール1位の優勝は38年春タイガース、53年巨人、62年東映、97年ヤクルトに次いで5度目。パ・リーグでは62年東映以来、56年ぶりだ。

前回優勝の08年は25歳の中村が46本塁打で初タイトルを獲得したが、今年は5年目の山川が46本塁打、121打点とブレーク。30本塁打、120打点の3番浅村と4番山川を軸にした打線は破壊力抜群で、歴代4位タイの771得点をマークした。西武打線はチャンスに強く、チームの得点圏打率が3割8厘。リーグの得点圏打率10傑に5人が入り、満塁弾8本、3ラン28本と、走者がたまった場面の1発も多かった。2桁安打70度は球団新記録で、138試合のうち半分以上の71試合で6点以上を挙げた。6点以上の試合数が多いチームを出すと、(1)18年西武71試合(2)50年松竹70試合(3)01年近鉄67試合(4)80年近鉄、00年日本ハム65試合。今年の西武は、最多得点記録をつくった50年松竹を抜いて史上最多。当然、6点以上の試合では白星が多く、62勝9敗で勝率8割7分3厘を記録した。

打線とは対照的なのが投手陣。リーグ最多の636失点で、防御率4・27はリーグ最下位。リーグ最多失点で優勝は92年ヤクルト、01年近鉄に次いで3度目、最低防御率で優勝は01年近鉄に次いで2度目だ。最多失点、最低防御率で優勝した01年近鉄には26セーブの大塚がいたが、西武は20セーブもいない。これに加えて、84失策がリーグワースト。過去に最多失点、最低防御率、最多失策は昨年のヤクルトとロッテまで42チームあったが、これまで全チームが負け越して、そのうち昨年のヤクルトとロッテを含め27チームが最下位。プロ野球史上初めて最多失点、最低防御率、最多失策で優勝した。

今年のプロ野球で最も多いスコアは3-2だが、西武は7-4の8試合が最多。強力打線が投手陣をカバーした結果、西武は4失点以上の試合で39勝。85年近鉄の36勝を抜き、4失点以上の白星はプロ野球史上最も多かった。優勝には「投手を中心とした守りが重要」と言われてきたが、西武はこれまでの常識を覆す野球でペナントを制した。【伊藤友一】