広島赤松、復帰2年目の闘い「自分のためじゃない」

9月22日、ウエスタン・リーグ阪神戦、代走で出場した赤松

胃がんからの再起を目指す広島赤松真人外野手(36)が来季も現役を続けることが1日、分かった。昨年1月に胃がんの摘出手術を受け、今季は2軍戦で実戦復帰。7月にはウエスタン・リーグで復活アーチも架けた。広島ファンだけでなく、がん患者に勇気を与えるために奮闘してきた韋駄天(いだてん)は、不屈の精神で来季も闘い続ける。

赤松は闘い続ける。ウエスタン・リーグ全日程を終え、その目は“2年目のシーズン”を見つめている。「自分のためじゃない。周りのため。自分のためだったらとっくにやめている。ラスト1年。その気持ちで闘いたい」。今季は2軍で復帰し、1軍昇格を目指して闘った。それだけではない。同じがんと闘う人に勇気を与えるため、闘い続けてきた。その歩みを止めることはできない。まだ闘える。その覚悟ができた。

昨年1月に胃がん摘出手術を受けた。術後に「リンパ節」に転移が見つかり、7月まで抗がん剤治療を続けた。同11日に広島・大野練習場でリハビリ組の3軍に復帰。体力や技術を取り戻しながら、結果が求められるフィールドに戻ってきた。

今季はウエスタン・リーグに55試合出場し、打率2割3分7厘、5打点。7月21日オリックス戦では復活の1号を放った。持ち味での快足でも、5盗塁を記録した。まだ通院を続けながらの闘い。それでもグラウンドでは、はつらつと躍動感あるプレーで、広島ファンだけでなく、がん患者に勇気を与え続けてきた。

胃がん手術から1軍に戻ってきた選手は過去に例がない。今季残した数字も、ひとつの奇跡といえる。心技体、すべてをすり減らすような闘いにも「どうにかパフォーマンスを上げようとやってきた。1軍の戦力になれるようにと思ってやっている」と立ち向かってきた。

赤松の現役続行を球団も了承している。松田オーナーは「ヒットを打って、二塁へ盗塁して生還する。それを1軍でやりたいと。それが目標ですと、手術したあとに話した。もう1年やってみるのはいいかな。がん患者の方はたくさんいる。頑張っているさまを見せられればと思う」と優しくうなずく。

プロ15年目、胃がんからの復帰2年目となる来季も現役を続けることが決まった。優勝を決めた9月26日。優勝フラッグを持ってグラウンドを一周する時には、菊池が赤松の38のユニホームを腰に巻いていた。由宇で声援を送り続けてきたファンも、テレビを見ながら応援している人もいる。チームメートにとっても、ファンにとっても、その姿は大きな希望。赤松は来季も闘い続ける。【前原淳】