阪神次期オーナーも矢野体制発足へ早期決着求める

矢野2軍監督(18年7月10日撮影)

阪神が、今季限りで辞任する金本知憲監督(50)の後任候補として一本化している矢野燿大2軍監督(49)に、今日13日にも宮崎県内で就任要請を行うことが12日、分かった。揚塩健治球団社長(58)が交渉役を務める。25日にドラフト会議を控え、外国人やFAなどの補強方針を決めるためにも新体制作りは急務。次期オーナー就任が決まった阪神電鉄の藤原崇起会長(66=球団オーナー代行)も、矢野体制発足へ「スピード決着」を求めた。

風雲急を告げる阪神の監督人事が、南国の宮崎で動きだす。今日13日にも、揚塩球団社長が現地入りし、就任要請を行うことが判明した。前日11日に金本監督が今季最下位の責任を取って電撃辞任。球団も迅速に動き後任候補として今季、就任1年目でファームを日本一に導いた矢野2軍監督に絞り込んだ。同監督がフェニックス・リーグの指揮を執る宮崎に足を運び、誠意を伝える。

チーム再建の歩みを停滞させるわけにいかない。11日に次期オーナー就任が判明した阪神電鉄の藤原会長も、一夜明けの第一声で危機感をにじませた。大阪市内の電鉄本社で後任監督人事について「早く決めてもらわないといけないですね」と球団に要望。「やっぱり、早くやったことに越したことはないのは私らもよく分かる」。スピード決着を望み、切迫感が現れた。

コーチ陣の組閣も急務だが、新監督の意向なしには決められない。チーム方針の大枠を定める必要もあり、各方面で支障が出る。25日のドラフト会議を控え、この日は西宮市内の球団事務所でスカウト会議を開催。候補選手を86人に絞り込んだ。だが、肝心の監督が空位では、1位指名の方向性が定まらない。谷本球団副社長兼球団本部長も「ドラフトまで2週間を切っていますし、喫緊の課題です」と危機感あらわ。佐野統括スカウトも「まだ現場の話を聞いていないので分かりません」と話すにとどめた。藤原次期オーナーの懸念は現場が直面する問題だ。

金本監督はシーズン中からドラフト戦略、外国人補強の腹案を温めてきた。FA補強はどう進めていくのか。指揮官の辞任で、すべてが白紙になり、仕切り直しを強いられる。また、秋季キャンプの方針も早々に決めないといけない。課題は山積している状態だ。

藤原次期オーナーからは注目発言も出た。新監督に求める像を問われると「やっぱりファンあってのタイガースですから。一番、ファンの方に喜んでいただけるようなことにせんとあきませんわな。そうは思います」と言い切った。ファンファーストの姿勢は矢野2軍監督がファンサービスを大切にする思いと合致する。

同監督は休日を過ごし、宮崎市内で応対。「話せることは何もない。それしか言いようがない」と話すにとどめた。球団は交渉が難航した場合に備え、前2軍監督の掛布雅之オーナー付シニアエグゼクティブアドバイザー(63、SEA)や経験豊富な05年優勝監督の岡田彰布氏(60)らも候補に挙げる。まずは10・13から始まる。16日にはオーナー交代内定会見も行われる。早期決着がつかなければ、来季に悪影響を及ぼす。