阪神矢野監督きょう受諾か ギリギリ熟考して決める

朝一番の飛行機で宮崎から帰阪した矢野2軍監督(撮影・加藤哉)

阪神の次期監督候補として就任要請を受けている矢野燿大2軍監督(49)が14日、今日15日に諾否の結論を出すことを表明した。この日はフェニックス・リーグの指揮を執っていた宮崎から緊急帰阪し、兵庫・西宮市内の球団事務所で2度目の交渉に臨んだ。終了後に「考えれば考えるほど難しい」と苦悩の胸中を明かしたが、前向きに検討しているとみられる。11日の金本知憲監督(50)の辞任表明から3日後。編成作業も滞っており、チームのために早々に決断する覚悟だ。

阪神にとって、今日15日が運命の分かれ道になる。11日に金本監督が辞任表明して3日。次期監督として前日13日に就任要請を受けていた矢野2軍監督は早朝からめまぐるしく動いた。午前7時台の飛行機で宮崎空港から伊丹空港へ。進路について家族らに相談するため、緊急帰阪した。

その後、球団事務所で揚塩球団社長と2日連続となる2度目の交渉へ。約1時間、会談した後、スーツ姿で現れた同監督は「考えることが俺も多くて。(家族に相談して)いろんな意見はあるし、いいも悪いも両方ある。大変な立場、仕事になるので、どっちもあるのが正直なところ」と話した。まさに苦悩。胸中は揺れ動くが、言外にはチームへの思いの強さもにじむ。

矢野2軍監督は「考える時間も欲しい。あと、もう1つは球団やチームのことを考えたら、時間もないから明日まで待ってほしいということ」と続けた。自ら返答期限を設定し、踏ん切りをつける。球団には今日15日に結論の返事をすると伝えた。11日に金本監督が電撃辞任。25日にドラフト会議が迫るなど、来季への戦力編成が滞っている現状を痛感するからだろう。

「社長としては、もちろん早く返事をもらいたいのは俺にも分かっているけど、俺のなかでどうしても最終決定というところまで…。どっちにしても、期限を決めないと、決められない。経験がないことやから、考えれば考えるほど難しい部分も出てきたりする」

超人気球団を背負う監督業の重圧は計り知れない。重責を担うからこそ慎重に返答する考えだ。受諾を最終決断すべく、覚悟を固める時間を設けたい思惑も見え隠れしている。

今季から2軍を率いて、いきなりファーム日本一に導いた。手腕は実証済み。金本監督が3年間取り組んだ若手強化の方針を引き継げる最適の候補だろう。矢野2軍監督も「そこの思いもすごくあるのよ。きれい事になったりするから自分の胸の内にとめておきたいけど、それはまた」と前向きな思いも明かす。金本体制が継続なら来季はヘッドコーチに就く予定だった。要請するポストは大きく変わったが、球団は複数年契約を提示したとみられ、金本イズムを継ぐ矢野新監督に長期的な強化を託したい考えだ。

前日13日、宮崎での監督要請は難航ムードが漂った。まだ予断は許さないが、阪神を愛するハートは人一倍強い。「金本監督とやってきたときも、その気持ちで俺も戻ってきている」。監督空位の緊急事態だ。矢野2軍監督にとっても、人生を左右する決断になる。