ソフトバンク史上最多5発突破!王さん満足長打継承

日本ハムに勝利し喜ぶソフトバンクナイン(撮影・栗木一考)

<パCSファーストステージ:ソフトバンク5-2日本ハム>◇第3戦◇15日◇ヤフオクドーム

ソフトバンクが、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ第3戦を本塁打攻勢で制し、5年連続11度目のファイナルステージに進出した。1試合5本塁打はポストシーズン最多のプロ野球タイ記録で、12球団最多のシーズン202本塁打の本領を発揮。明日17日からの最終決戦でシーズン196発の山賊打線の西武に打ち勝ち、球団史上初の2位以下からの下克上日本一へ駆け上がる。

負ければ終戦の第3戦で、202発打線がCS最多タイの5本のアーチをかけた。工藤監督は「本当に心臓が飛び出るくらいに試合前から緊張していた。選手たちが絶対勝つんだという気持ちがバットに乗り移った本塁打だった。心の強さを感じた。すべて効果的だった」と、選手たちをほめた。

1回に2番明石が初球を右翼スタンドへ先制ソロ。初回の守りで西川の二塁へのゴロを一塁悪送球したミスをすぐに取り返した。同点に追いつかれた4回にはデスパイネが中堅へ勝ち越しソロ。ここまで9打席無安打だった松田宣も左中間へ130メートルの特大ソロをスタンドへたたき込んだ。6回にはデスパイネが2打席連続となる3号ソロを左翼ポールのはるか上のスタンドへ。「ファウルにならなくてよかった。完璧だったよ」。流れを変えたい日本ハム栗山監督からリクエストがあり、ビデオ判定にもなったが、判定も、試合の潮目も変わらない。続く中村晃も右翼スタンドへソロをたたき込んだ。

CS3試合で11打数6安打、3本塁打、6打点と大暴れしたデスパイネは「負けられない試合。全試合集中して打席に立てている」とキューバの主砲は、短期決戦で抜群の勝負強さを発揮している。

就任4年目の工藤監督は4年連続、チームは5年連続のCSファイナルステージ進出となった。15年の監督就任と同時に本拠にはホームランテラスが誕生。左中間、右中間は最大で10メートル前にフェンスができた。フェンスの高さも5・84から4・2メートルと下がった。だが、この日のソロ5発はいずれもテラスではなくスタンドへ突き刺した。

12日の練習を視察に来た王球団会長は、フリー打撃を見て「昔からみんな外野席中段の通路をめがけて振っていた」と目を細めた。伝統は変わらず、常日頃から長打を追求している。01年の203発に次ぐ、球団2番目の202発を量産し、工藤監督は「相手からすれば本塁打は脅威」と破壊力を頼みにする。

悲劇の歴史も破壊する。プレーオフでは04年、05年とシーズン1位通過も敗退。10年もリーグ優勝しながら3位ロッテに下克上を食らった。16年は工藤監督が指揮し、シーズンは最大11・5ゲーム差をひっくり返され2位に落ち、CSも敗れた。CSの屈辱を知るホークスが、山賊打線との打ち合いを勝ち抜き、下克上の勝ちどきを上げる。【石橋隆雄】

▼ソフトバンクはソロ本塁打5本。プレーオフ、CSの1試合5本塁打は07年2S第2戦ロッテ、17年ファイナルS第5戦DeNAと並ぶタイ記録。日本シリーズでも63年第7戦巨人の5本が最多でポストシーズンでは4度目のタイ記録。ソロ5発はポストシーズン史上初めて。1Sのソフトバンクは2本→1本→5本の8本塁打。3試合制の1Sでは04年西武の6本を抜いて最多。