阪神矢野監督、来季へ予行演習2軍5人表彰も1軍0

ファームの優勝チーム表彰で阪神矢野監督(左)は巨人川相前2軍監督と記念撮影(撮影・山崎安昭)

<NPB AWARDS 2018 supported by リポビタンD>◇27日

栄光への予行演習や!! 今季のタイトル獲得者らを表彰する「NPB AWARDS 2018 supported by リポビタンD」が27日、都内のホテルで行われ、阪神矢野燿大監督(49)が今季、2軍監督として導いたファーム日本一をたたえられた。2軍は5選手が表彰されたが1軍は0人…。17年ぶり最下位の窮状が表れた。指揮官は壇上で「来年は1軍でたくさん呼んでもらえるよう」と屈辱からの逆襲を宣言した。

華々しい球界のフィナーレは、タイガースの苦闘ぶりを物語っていた。「NPB AWARDS」にタイトルホルダーがズラリと並ぶ。超一流が堂々とレッドカーペットを歩く。だが、阪神ナインは誰もいない。まさかの0人…。12球団で唯一の選出なしで「蚊帳の外」の屈辱を味わった。

開宴の約3時間前、都内ホテルの同じ会場にズラリと並んだのはファーム日本一に貢献した若虎たちだ。最後に今季、2軍監督として率いた矢野監督が登壇。優勝チームとして表彰され「CHAMPIONS」と彫り込まれた黄金のシャーレを手渡された指揮官は、マイクの前で語気を強めて反攻を宣言した。

「来シーズンは僕も立場が変わり、1軍監督となります。今日、来た選手はもちろん、来季は1軍でアワーズにたくさん選手を呼んでもらえるよう、そして、プロ野球全体を盛り上げていけるよう、僕自身、精いっぱい頑張っていきたいと思います」

この日は2軍で戴冠した矢野チルドレンと喜びを分かち合った。最多勝の青柳や最優秀防御率など2冠の福永、セーブ王の伊藤和がいた。スポンサー表彰の板山はリーグ最多タイの98安打で、島田はチーム最多、リーグ2位の26盗塁。持ち味を発揮して奮闘した。だが、指揮官が求めるハードルは、1軍での活躍だ。

「2軍で表彰されるためにみんな来たわけじゃないと思う。こういう舞台で予行演習というか。次は1軍の表彰をしてもらいたいとか感じるものもあると思う。みんな、いつ出てきてもおかしくない。完全にステージは1個上がっている」

高知・安芸での秋季キャンプを終え、手応えを深めている。来季のタイトルについても「盗塁とか取れそうなヤツもおるし。最多勝だってどうなるか分からない」と期待する。何より晴れの舞台に立つ経験は目線が上がる。今季は01年以来、17年ぶり最下位だった。参加者なしの窮状に「寂しいね、そりゃあ」と本音も出た。だが「1人でも2人でも、結果的に取ってくれるというのは、すごくうれしいこと」と前を向く。手塩にかけた気鋭の若手が2軍でタイトルラッシュ。栄光の舞台に立つリハーサルにしたい。【酒井俊作】