西武山川1・1億更改+那覇市民栄誉賞!安室級活躍

1億円1000万でサインをした西武山川。来季は50本塁打を目指す(撮影・たえ見朱実)

沖縄が生んだ伝説の歌姫のように、スター街道を駆け上がる。今季初めてリーグMVPと本塁打王に輝いた西武山川穂高内野手(27)が5日、メットライフドームで契約更改交渉を行い、7760万円アップの1億1000万円でサインした。大台突破に先駆けて、今年引退した歌手の安室奈美恵さんらに続いて個人では3人目となる「那覇市民栄誉賞」が授与されることが発表された。故郷を背負う覚悟とともに、あらためて来季の50発を誓った。

山川の巨体から充実感があふれ出た。大幅アップで1億円の大台に到達。「球団から『文句ない成績』と言っていただいた。大満足」。47本塁打という圧倒的数字は長距離砲らしい思考に裏打ちされる。「安打を打つ練習と本塁打を打つ練習は、まるっきり違うと思う。僕は本塁打を打つ練習をした。バックスクリーンに本塁打を打つイメージを、起きてから寝るまで考えた。フォームに多少変化はあっても、そのイメージだけ常に持っていた」と胸を張った。

もう1つ、うれしい知らせがあった。「MVPと同じくらいうれしいかも」。この日、地元の那覇市民栄誉賞の受賞が決定。伝説的歌姫の名前に敏感に反応した。安室さんが「小学校が隣なんですよ」と身近な存在であることをアピールしたかと思えば、一方でその偉大さを実感する。「沖縄ではどこも歩けないようなスーパースターですから。僕はまだ全然、沖縄を歩ける。沖縄を歩けないくらいの人になれるように」と笑顔で誓った。

故郷への思いは熱を帯びる。「あくまで僕の仮説というか考えなんですが…」と前置きした上で「(日本で)唯一の地上戦があった場所なので、沖縄では戦争を経験した祖父母から話を聞いたり、跡地を見たり、小さい時から絶対に人と争うなと教わる。スポーツにおいて、それは(時として)良くないと思っている」。岩手の富士大で腕を磨き、プロ野球の世界に飛び込む過程で強く実感したことだった。「ピッチャーでは東浜さんがいて、野手では僕だ、と。沖縄を背負ってやるくらいの強い気持ちでやっています」と言った。

浅村がFA移籍して重圧は増す中、あえてハードルを上げる。目指す数字について「50(本)です。あと3本の壁は絶対に高い。60本70本打つくらいの気持ちで、やっと50打てると思う」。具体的な本数を早々にぶち上げたのも山川なりのアプローチだ。「人に言ったら練習しないといけない。大きく言って、逃げられない状況をつくった方が、達成しやすいのかな」。森らとの沖縄自主トレから挑戦が始まる。【亀山泰宏】(金額は推定)