楽天ドラフト指名10人衆の横顔、記者&デスクが紹介

楽天ドラフト1位の辰己涼介

楽天の新入団会見が11月22日に行われ、ドラフト指名された10人(育成含む)が決意表明した。投手6人、捕手1人、内野手1人、外野手2人というバランスの取れた布陣。補強責任者の石井一久GM(45)が初めて陣頭指揮を執り、平石洋介新監督(38)の門出を彩るフレッシュな顔触れだ。「みちのくプラス!!」では、入団会見からのコメントとともに、新人10人を徹底解剖する。趣味、特技、座右の銘などグラウンド外の話題からも切り込み、野球記者とデスクのぶっちゃけトークで横顔を紹介します。【取材・構成=鎌田直秀、中島正好、撮影=横山健太】

デスク 16年から恒例「いい夫婦の日」の新入団発表。監督もGMも新体制で、今年はフレッシュなマッチングになった。

記者 欲しかった野手は外れ1位で即戦力NO・1外野手を抽選で引き当て、左投手が3人と、石井GM好みの色が出ています。

デスク 個々の印象を聞こうか。まず1位辰己は背番号7の感想を聞かれ、「似合っていると思います」と自信満々で話す度胸に感心した。売りは「元気」、今一番したいことに「野球」と答えるなど、座右の銘「野球バカ」を地でいく。メンタルの強さも即戦力とみる。

記者 2位太田は有名芸人と同姓同名の笑い? 先行かと思いましたが、しっかりした男です。創作居酒屋のバイト代で後輩たちにごちそうしていました。また厨房(ちゅうぼう)担当で腕を磨いた料理の腕は玄人はだし。ソースや香辛料にこだわった好物のハンバーグの味は絶品とのこと。「シェフ太田」は投手の味も引き出す-。「女房役」としては適任ですね。

デスク 3位引地は「燃える男」のDNAを受け継いだ。楽天監督、球団副会長を務め、今年1月に亡くなった星野仙一氏の後輩(倉敷商)。アピールポイントでは「星野大先輩のように、強い気持ちでバッターに向かっていく」と話し、「25連勝したい」と楽天OBのヤンキース田中が持つ金字塔超えにも色気。大物になるよ。

記者 4位弓削はとにかくデカイです。193センチは日本人左腕に限れば歴代1位タイ。体重105キロとボールも重そう。メジャー殿堂左腕で208センチのランディ・ジョンソンにあこがれており、「和製ランディ」の異名が定着しそうです。

デスク 日大では最終学年で投げ始めた遅咲き。実は4年春のリーグ戦で見たことがあり、日本駐在のメジャースカウトが初視察で食い入るように見ていたのが印象的だ。高校の佐野日大(栃木)はオリックス田嶋ら、選手の個性を伸ばす指導方針で定評がある。即戦力だけど、まだ伸びしろがある。

記者 趣味がコーヒー、特技がビリヤード。社会人らしく落ち着いた雰囲気に好感を持ちました。

デスク 5位佐藤は天然ボケがほほ笑ましかった。背番号「61」に「石井GMが最初に付けていた番号」とニンマリしたが、あとで球団関係者が「石井さんは16」と本人に耳打ち。彼がまだ1歳の頃のヤクルト石井一をライブで知るはずがなく、「61」は同じ左腕でも石井弘寿。ただ石井GMは西武で「61」だったので、うっかり間違いということかな。

記者 6位渡辺は「大監督の孫」から卒業して初めて一本立ちです。祖父の元智氏(74)は横浜高を甲子園5度の優勝に導いた元名将。同校の寮母だった母元美さんの女手一つで育ったこともあり、父同然の存在です。会見で元智氏は孫の晴れ姿を、慣れぬスマホのカメラで撮影し、元美さんが横で手助けしていました。自身も若かりし頃はプロを目指していただけに「正直言って感無量」と好々爺(や)の顔でした。

デスク 座右の銘の「人生の勝利者たれ」は、元智氏の著書のタイトル。ドラフト会議後のテレビ特番では祖父も振り返っていたけど、中学時は体が小さかったこともあり、横浜高への進学希望を「通用しない」と却下した。だから渡辺は一般受験で入学し、競争を勝ち上がって甲子園にも出場した。東京6大学でも現役最多の通算95安打。念願のプロにもなって、おじいちゃん孝行だな。

記者 その渡辺は会見で「小さい頃から野球を教えてくれたおじいちゃんにありがとうと言いたい」と、感謝を伝えました。渡辺家の「野球物語」第2章に期待しましょう。

デスク 7位小郷は背番号「51」のインパクトとともに、相手を真っすぐ見つめる目力に引き込まれた。彫りの深いエキゾチックな顔立ちで、どこかでお会いしたような…。本人いわく「ケンブリッジ飛鳥(陸上短距離)」に激しく同意。売りはイチロー級の強肩と、「楽天のケンブリッジ」を目指す俊足。百聞は一見にしかずで、ぜひ球場に足を運んでご覧ください。

記者 8位鈴木は特技がピアノ。姉をまねて始め、中学では合唱コンクールでもクラス代表で任されたとか。俳優・葉山奨之似の甘いマスクで、女性人気は高そうです。

デスク 個人的には、育成1位清宮が一押しだ。190センチの上背は大きな武器。そして、私の自宅と彼の実家が同じ千葉・八千代市内で、車で10分の距離。会場であいさつした父雅之さん(56)と地元話で盛り上がった。一見名前がそっくりで、対戦したい打者も、自称似ている有名人も日本ハム清宮。ハムの2軍本拠地は車で30分の距離なので、2人が顔を合わせたら地元はちょっとした「清宮フィーバー」だ。

記者 私情を挟むのはやめましょう。目指すのは1軍での対戦実現ですから。

デスク ちなみに5人きょうだいで、4兄弟はすべて「たろう」。本人は「虎」入りで雅之さんが阪神ファンと勘違いされるが、画数で決めたそうだ。

記者 育成2位則本は兄昂大(27)がチームのエース。近大同期の巨人畠をライバル視します。「則本弟」と呼ばれなくなったら本物です。

デスク 新人だけでなく、FAで西武から浅村栄斗内野手、広島からは福井優也投手が移籍。リーグ優勝経験者が加わって盛り上がるな。

記者 石井GMも「最下位ですけれど、優勝できると思っています」って言い切っていましたよね。信じましょう。野村さん、星野さんに続く、楽天を変える雰囲気が漂います。楽天ですからサッカーJ1神戸のMFイニエスタやFWビジャ級の大物外国人獲得もあるんじゃないですか? 石井ルーキーGMの言動にも注目ですね。