西勇輝、今日にも阪神決定 矢野監督出馬でダメ押し

16年6月、交流戦で甲子園のマウンドから投球した西

オリックスからフリーエージェント(FA)宣言した西勇輝投手(28)が阪神移籍を決断したことが6日、分かった。阪神、ソフトバンク、オリックスの3球団による争奪戦が展開されたが、最終的に新天地を選んだ。また、阪神が今日7日にも西と3度目の交渉を行うことも判明。入団は決定的な情勢だが、矢野燿大監督(50)も同席する方向だ。

FA権行使を表明した11月7日から約1カ月。今オフ、誰よりも長く悩み抜いた西が、阪神移籍を決めた。通算74勝右腕が最後までこだわった部分。それは「自分をどれだけ必要としてくれるか、その熱意を共有したい」。FA宣言時から口にした強い思いが、決断の決め手となった。

阪神とは11月16日に初交渉。「野球観が同じ」と絶賛された。「あまり褒められたことはないので…」と照れ笑いしたが、投げかけられる言葉が次々と胸に突き刺さった。同24日には2度目の交渉、翌25日のファンフェスタ後には「非常に熱意を感じた。1日も早く決断したい」と、前向きな言葉を口にしていた。

心は揺れ動いた。高校を卒業してから10年在籍したオリックスには特別な愛情がある。資金力が潤沢なソフトバンクなど、熱烈なオファーもらった他球団に対する感謝の思いもある。自身のブログでは「正直、ここまで悩むものと思ってなかったです」と心境を吐露。交渉期間中は神経をすり減らし、体重も3キロ減った。

阪神に与える影響はグラウンドだけではない。実力はもちろんだが、明るく気配りの性格で知られる。今夏もオリックスの年下の選手を連れ立ってバーベキューをするなど後輩たちに慕われた。侍ジャパン経験者で阪神でも藤浪ら顔見知りの選手がいる。投手陣のリーダー的存在としても期待できる。西は今日7日にも2球団に断りを入れる模様で、間もなく正式に「阪神西」が誕生する。

◆阪神先発事情 シーズンを通して活躍した投手がいなかったことが、最下位転落の一因となった。大黒柱のメッセンジャーは11勝を挙げたが、8月中旬から8試合白星なしで閉幕。日本人では岩貞と小野の7勝が最多で、日本人投手の2桁勝利なしは同じく最下位だった01年以来17年ぶり。序盤で2勝した新人の高橋遥も6月に左肩不調で離脱。不振の続いた藤浪が復調の兆しを見せたが、戦列復帰が9月と遅かった。高卒2年目で先発5勝含む6勝の才木の台頭は光だが、矢野監督が来季先発に当確を明言したのはメッセンジャーだけ。残り5枠は混沌(こんとん)。ここ5年で4度2桁勝利を挙げた西の加入は大きい。