日本ハムGM「年齢が鍵」王柏融は長期的視野で獲得

11月12日、インタビューで大きな手を広げるラミゴ王柏融

「台湾の大王」が北海道にやってくる。日本ハムは7日、優先交渉権を得ていた前台湾・ラミゴの王柏融(ワン・ボーロン)外野手(25)と契約合意に達したと発表した。総額4億円プラス出来高の3年契約で背番号は未定。台湾球界で2度の打率4割超えを果たした“台湾史上最強打者”の獲得に、栗山英樹監督(57)も歓喜した。19日に台湾で、21日には札幌市内で入団会見が行われる。

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日本ハムが3年ぶりの日本一奪回へ、打の目玉補強を完遂した。王柏融と3年契約の4億円プラス出来高で合意。念願だった日本球界への挑戦が決まった王柏融は日本ハム球団を通じて「台湾プロ野球界で初めて海外移籍制度を行使して日本プロ野球界に加わったことは名誉であり、同時にプレッシャーでもあります。これからも初心を忘れず、努力を怠りません」と所信表明した。

長期的視野で獲得に動いた。千葉・鎌ケ谷の2軍施設で取材に応じた吉村GMは「日本に適応できるかは年齢が鍵。若いので、ここから伸びると期待している。ここから先の新球場でプレーしてほしいというのもある」と話した。台湾球界から日本球界へ移籍した野手が苦戦してきた過去も承知の上。これまでの実績に加え、25歳という若さが大きな壁も乗り越えられると判断した。さらに23年に北海道・北広島市内で予定される新球場開業時は、まだ30歳。新球場で主役を張れる存在になっていることを期待する。

同GMは今回の王柏融の日本球界移籍を「『アジアの大砲』と呼ばれた呂明賜選手の日本デビューや、イチロー選手のメジャー移籍に匹敵する国際的なチャレンジです」と形容した。育成に定評のある日本ハムが“台湾史上最強打者”をどう進化させていくのか。現地でも大きな注目を集める「台湾の大王」の挑戦を成功させることが、球団にとっても大きな使命となる。

オリックスを退団した金子の獲得に続く吉報を手にした栗山監督も大喜び。「本当に欲しくて、どうしてもファイターズで一緒に野球がしたいと願っていた選手。王選手は、台湾の宝。今度は日本で大きな夢を実現してほしいですし、そのために我々も全力を尽くします。いち早く日本の環境になじみ、本来の力を存分に発揮してもらいます」と期待を寄せた。【木下大輔】

◆王柏融(ワン・ボーロン)1993年9月9日、台湾・屏東県生まれ。中国文化大在学中の14年にU21W杯優勝に貢献。15年ドラフト1位でラミゴに入団し、同年デビュー。初のフルシーズンだった16年はリーグ初の200安打、歴代最高の打率4割1分4厘、29本塁打、105打点、24盗塁をマークし、MVPなど6冠。昨季は打率4割7厘、31本塁打、101打点で3冠王。181センチ、90キロ。右投げ左打ち。

◆王柏融成績メモ 2年目の16年にCPBL記録の打率4割1分4厘で首位打者を獲得。17年には台湾人選手では初の3冠王となり、4年間の通算打率は3割8分6厘をマーク。ラミゴに入団した15年にプレミア12の台湾代表に選ばれ、18打数8安打、1本塁打、打率4割4分4厘。同じ台湾代表に選出された陽岱鋼(日本ハム)は17打数4安打、1本塁打の打率2割3分5厘だから、1年目の王柏融が日本ハムのレギュラーだった陽岱鋼を上回る成績を残した。これまで台湾プロ野球で活躍した翌年に来日した選手には97年ルイス(巨人)や03年陳文賓(ダイエー)がいる。96年兄弟で打率3割7分5厘の首位打者となり、「台湾のイチロー」と呼ばれたルイスは打率2割3分7厘の0本塁打。02年に中信で本塁打王の陳文賓は0本塁打に終わるなど、2人は期待を裏切ったが、王柏融はどうか。