29人制で救援先発の「オープナー」日本でも採用か

今季初回失点

日本野球機構(NPB)の協約・ドラフト改定委員会が10日、都内で開かれ、1軍公式戦に出場できる「出場選手登録」の人数を1人増の29選手に拡大する野球協約の改定を行うことを承認した。日本プロ野球選手会の同意も得ており、来年1月のプロ野球実行委員会で正式決定する。

NPB井原敦事務局長は「選手の出場機会を具体的に増やすという施策はなかなかない中で、29人にするという案が出てきた。前回の実行委員会で承認されているので、2019年シーズンから施行します」と説明した。

出場選手登録から外れると再登録までに10日間が必要。ベンチ入り人数(25人)は変わらなくても1軍枠が広がれば、登録抹消せずに柔軟な選手起用ができる。救援投手の増員や野手強化など、チーム状況に応じた運用が可能になる。

来季から出場選手登録の枠が1人増えるため、救援投手を柔軟に起用できるメリットがある。大リーグで話題になった「オープナー」が日本でも登場するか。

オープナーとは救援投手を初回に使い、相手上位打線を封じる作戦。今季最初に試みたレイズは5月19日エンゼルス戦でロモ(今季25セーブ)を先発させ、1番打者から3者三振に仕留めた。試合は2回から4人を継投し5-3で勝った。

日本でもオールスターでは、救援投手を先発させた例がある。07年第1戦で全セの落合監督が上原-高津-林昌勇-木塚-岩瀬-黒田-久保田-クルーン-藤川の9人を1イニングずつ使い、1安打完封リレーを記録した。この年の上原は32セーブを挙げた救援転向1年目で、落合監督は「こういう起用があってもいいんじゃないか」と、してやったりの表情を見せた。この起用法は今季、メジャーで「ブルペンデー」と呼ばれ、数球団が採用した。

登録枠の増加に伴い、今後は公式戦でも力押しのできる投手の先発起用が見られるかもしれない。今季、初回の失点がワースト1、2位のロッテ、阪神など、試してみてはどうだろう。

たとえばロッテなら今季の上位3球団に対して手を打てる。西武は秋山、源田、ソフトバンクは上林、柳田、日本ハムは西川、近藤と上位打線に有力な左打者がおり、左の先発陣も手薄なため救援左腕の松永をいきなりぶつけるのだ。

阪神はメッセンジャーがFA権を取得し、外国人枠を外れる。今季32セーブのドリス、新外国人ジョンソンの2枚を有効に使え、セットアッパーに回っている能見は先発経験十分だ。阪神の今季の救援防御率3・70はリーグ1位。終盤に抑える力を頭から使えば、勝機が広がる可能性はある。【織田健途】

◆オープナー 本来は救援である投手を先発させる作戦、またはその投手のこと。レイズは今年62試合で救援投手を先発させ、昨季の80勝82敗から90勝72敗へと躍進に成功した。剛腕投手を1~2回投げさせ2番手に本来の先発を登板させることが多い。

◆その他の理事会、実行委員会の主な審議事項 (1)今季から導入されたリクエスト制度の改定協議。回数は2度のままで、検証範囲を検討。リプレー検証の対象になった判定をした審判員を検証の際に加わらせないなどの案も(2)5人制野球「ベースボール5」の講習会を来年1月に実施(3)19年も、みやざきフェニックス・リーグを開催(4)野球人口を正確に把握する競技者登録システムについて。